第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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シンポジウム

[SY3] デジタルトランスフォーメーション(DX)と新たな看護価値の創出

座長:福田 美和子(東京慈恵会医科大学 医学部看護学科)

[SY3-03] [シンポジウム] 医療におけるIoTの活用とその一端を担うモバイル型投薬・点滴デバイスが拓く未来の医療

○中村 秀剛1 (1. アットドウズ株式会社)

Keywords:IoT、モバイル点滴、QOL向上


 今日、スマートフォンやタブレットなどの情報処理端末は一人で数台を保有する人も出てくるなど、目覚ましい勢いで普及している。スマートフォンは家族との連絡手段や娯楽目的で活用するだけでなく、企業におけるITの出入り口としてのインフラになってきている。企業活動におけるITの活動、すなわち、業務におけるITの活用は、これまでの業務にどれだけの変革を与えるのだろうか。
 まずはクラウドを活用した2つの事例をご紹介したい。1つ目は老舗旅館における顧客情報の管理・共有手段としてのIT活用である。旅館を1度でも利用したことのある顧客はクラウドシステム内で家族構成や食事の好み、旅館での過ごし方など、担当した従業員が気づいたことを次々と記録していく。また、宿泊のために乗ってきた車のナンバーは記録され、駐車場到着の際にナンバー読み取り機によって読み取られるため、従業員は宿泊客の名前を確認したうえで宿泊客を出迎えることができる。板前担当は翌日の宿泊客の好みやアレルギー等を確認したうえで、翌日の献立を立案し、仕入れ業者に材料の発注を行う。
 2つ目の事例としては、牧場におけるITの活用である。牧場では牝牛のお産時期を正確に把握することが何よりも重要であった。しかしながら、牝牛の外見を見るだけでお産時期を正確に把握することは難しい。ところが、牛の歩数を記録する機械を用いると、毎日の歩数の変化によりお産の時期を推測することが可能となった。その結果、お産の時期が近づいて神経質になっている牝牛に対して従業員が適切に対応することが可能となった。また、個々の牛のバイタルデータが過去にさかのぼって蓄積される結果、食事の配合を変えたり量を調整したりといった個々の牛の状況に応じた対応が容易に実現できる。これら2つの事例で大切なポイントがある。それは、IT活用により業務を効率化することで、個々の宿泊客や個々の牛と深く付き合い、気持ちを込めて接する時間が確保できる点だ。この事例が示すことは医療の世界でも実現できるのではないだろうか。
 本セッションのテーマであるDXは業務の効率化をもたらす。医療においてITの活用・業務を効率化する目的は何か。それは一人一人の患者と深く付き合い、気持ちを込めて接する時間を確保するということではないだろうか。現在、Apple Watchに代表されるセンサー端末やスマートフォンを活用することで、個々の患者のバイタルデータがクラウド上に蓄積される世の中になっている。これらのデータを活用して患者の現状を正しく把握するとともに、今後の変化を予測することも技術的には可能な時代だ。AI技術の医療への活用はその道を拓く。現在開発中の持ち運び可能な点滴投与デバイス「アットドウスモバイル」は、電気の流れを水の流れに変える電気浸透流ポンプを活用している。その結果、ITとの相性が良く、患者の現状や未来の状況に合わせた投薬管理が可能である。投薬管理が自動化されることで、医療従事者はより多くの時間を患者との時間に充てることができる。また、患者の家族や関係者はバイタルデータと共に投薬データを遠隔で確認することができる。患者は点滴を受けている最中でもベッドや椅子などに拘束されず、比較的自由に行動することができる。
 医療におけるITやIoT技術の活用は未来の医療を拓く。それは患者のQOLを向上し、医療従事者にとっても安全安心な医療を実現する助けとなるはずである。