[SY3-02] [シンポジウム] 昭和大学病院におけるtele-ICUの取り組み
Keywords:遠隔集中治療、tele-ICU
遠隔集中治療患者管理プログラム(tele-ICU)とは、遠隔地にある複数のICUを24時間体制で支援する運用システムのことを指し、各施設と連携を図ることで患者アウトカムの向上につなげることを目標としている。米国では1990年代から展開されており、ICUベッドの約18%(約15000床)で導入され、成果を揚げている。
昭和大学では、重症患者の早期社会復帰を目指すことをビジョンとし、①ICU滞在日数の適正化、②人工呼吸器装着日数の短縮、③ICU入室患者の増加、④患者およびスタッフのさらなる安全・安心を目標に掲げ2018年3月よりtele-ICUを運用開始した。2つの病院、5つの集中治療部門の各ベッドと院内に設置されたサポートセンターをVPNの接続により、患者状態やデータをサポートセンターでモニタリングし、双方向音声ビデオシステムにより支援している。サポートセンターには、tele-ICUのワークフローおよび使用するソフトウェアの訓練を受けた集中治療専門医1名、看護師1名、事務員1名の計3名が配置されており、土日を含む日勤帯と一部夜間の運用を行っている。昭和大学のtele-ICUでは、最大約50名の患者を同時にモニタリングでき、重症度スコアリング機能と四半期毎のレポート機能やビッグデータ解析機能が使用可能である。これらのツールを用いて評価することで、診療の質向上のための改善点が明らかとなる。
昭和大学のtele-ICUにおいて使用するソフトウェアが自動計算するAPACHE Ⅳスコアによると全ユニットの平均重症度は、2018年は53.7と全米平均の55を下回ったが年々上昇し、2020年6月時点で61.2に達している。しかしICU内死亡は2018年21例(3.61%)であったが2019年には14例(2.63%)に減少傾向であり、成績は向上していた。tele-ICUの支援の内容を分析すると全支援件数は398件であり、職種による内訳は医師が198件、看護師が196件、事務員が4件であった。支援の契機別にみるとtele-ICUへベッド側から要請できるボタン185件、アラーム機能37件、ビデオラウンド141件、その他35件とソフトウェア・ハードウェアの機能をバランスよく使用して支援していた。看護師が介入した支援内容の一例として定期ビデオラウンド中に呼吸器のアラームを確認し、人工呼吸器のグラフィックからチェーンストークス呼吸を発見し、早期に治療介入に至ることができた。
現在、クリニカル・ラダー3相当の看護師がtele-ICUを担当しているが、担当者によって支援率に差異がある。今後原因分析と育成方法を検討し、tele-ICUの更なる発展に努めたいと考えている。
