2:44 PM - 2:56 PM
[O14-03] HCUの看護ケアの質とcomfortとの関連について
−discomfort状態とPICSとの相関から−:その1
Keywords:クリティカルケア、comfort、PICS
【目的】集中治療後症候群(以下PICS)と言われる合併症が問題となる中、クリティカル領域の患者がもつ多様なcomfortニーズに対し、質の高い看護ケアを提供することは、PICS予防につながると考えた。そこで、PICS発症と入床する患者のcomfort状態を把握するために、comfortではない状態(以下discomfort状態)、医療者の介入状況、環境について多側面から調査、分析し、看護ケアの方向性を導き出すこととした。
【方法】対象はHCUに入床した意識レベルJCS20以上、鎮静レベルRASS-3以上の患者とした。調査内容は個人属性(診療科等)、PICS発症の有無を入床時と退床後に調査した。PICS発症の有無は、運動機能障害を徒手筋力テストの合計(Medical Research Concil 以下MRC)、認知機能障害をミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination以下MMSE)、メンタルヘルス機能障害を簡易抑うつ症状尺度(Quick Inventory of Depressive Symptomatology以下QIDSJ)で評価した。 また、discomfort状態、HCUの外的環境を各勤務毎に調査した。分析方法は、調査項目の記述統計量を算出後、カイ二乗検定およびスピアマンの順位相関係数を算出し分析した。院内看護研究倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】対象は41名、内訳は脳外科14名、内科6名、循環器内科8名、外科13名であった。MRCは1名、MMSEは7名、QIDSJは9名に悪化を認めた。科別の有意差は認めなかった。MRC、MMSE、QIDSJが悪化した群とdiscomfort状態、外的環境との関連では、MRCは記憶の欠如(p=0.014)、MMSEは恐怖(p=0.04)、QIDSJは怒り(p=0.019)、アラームへの不快感(p=0.047)によって悪化していた。悪化に関連した各症状とdiscomfort状態、外的環境との順位相関係数の結果では、各変数の多くが精神的側面と相関関係を認めた。PICS危険因子との関連では、MRCはせん妄(p=0.002)、MMSEは低血圧(p=0.04)が出現すると悪化していた。人工呼吸器とMRC、MMSE、QIDSJの悪化に関連は認めなかったが、discomfort状態の身体的側面とスピリチュアル的側面に関連を認めた。せん妄発症は特に精神的側面との関連を認めた。
【考察】MRC、MMSE、QIDSJの悪化に関連した症状の多くはdiscomfortの精神的側面であった。療養環境の非現実的な日常や不快感は、患者にとって混乱や恐怖を覚え、怒りという陰性感情を生み出している。それが、MMSEやQIDSJの悪化につながる可能性が示唆されたことから、discomfortの精神的側面に着目したケア介入によりPICSが予防できると考える。また、人工呼吸器患者は、discomfort状態の身体的、精神的、スピリチュアル的苦痛が相互に影響していると考えられた。人工呼吸器患者は鎮静薬で眠るより覚醒し人と関わりたいと願っていると言われており、家族など人との繋がりを実感出来る働きかけを行う事で、言葉以上の安心を得る事ができ、comfortが満たされPICS等の合併症予防に繋がると考える。
【結論】1.discomfort状態の精神的側面に着目したケア介入がPICSの予防に繋がる。2.人工呼吸器患者は、身体的、精神的、スピリチュアル的苦痛が相互に影響し合い、discomfort状態になっている。
【方法】対象はHCUに入床した意識レベルJCS20以上、鎮静レベルRASS-3以上の患者とした。調査内容は個人属性(診療科等)、PICS発症の有無を入床時と退床後に調査した。PICS発症の有無は、運動機能障害を徒手筋力テストの合計(Medical Research Concil 以下MRC)、認知機能障害をミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination以下MMSE)、メンタルヘルス機能障害を簡易抑うつ症状尺度(Quick Inventory of Depressive Symptomatology以下QIDSJ)で評価した。 また、discomfort状態、HCUの外的環境を各勤務毎に調査した。分析方法は、調査項目の記述統計量を算出後、カイ二乗検定およびスピアマンの順位相関係数を算出し分析した。院内看護研究倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】対象は41名、内訳は脳外科14名、内科6名、循環器内科8名、外科13名であった。MRCは1名、MMSEは7名、QIDSJは9名に悪化を認めた。科別の有意差は認めなかった。MRC、MMSE、QIDSJが悪化した群とdiscomfort状態、外的環境との関連では、MRCは記憶の欠如(p=0.014)、MMSEは恐怖(p=0.04)、QIDSJは怒り(p=0.019)、アラームへの不快感(p=0.047)によって悪化していた。悪化に関連した各症状とdiscomfort状態、外的環境との順位相関係数の結果では、各変数の多くが精神的側面と相関関係を認めた。PICS危険因子との関連では、MRCはせん妄(p=0.002)、MMSEは低血圧(p=0.04)が出現すると悪化していた。人工呼吸器とMRC、MMSE、QIDSJの悪化に関連は認めなかったが、discomfort状態の身体的側面とスピリチュアル的側面に関連を認めた。せん妄発症は特に精神的側面との関連を認めた。
【考察】MRC、MMSE、QIDSJの悪化に関連した症状の多くはdiscomfortの精神的側面であった。療養環境の非現実的な日常や不快感は、患者にとって混乱や恐怖を覚え、怒りという陰性感情を生み出している。それが、MMSEやQIDSJの悪化につながる可能性が示唆されたことから、discomfortの精神的側面に着目したケア介入によりPICSが予防できると考える。また、人工呼吸器患者は、discomfort状態の身体的、精神的、スピリチュアル的苦痛が相互に影響していると考えられた。人工呼吸器患者は鎮静薬で眠るより覚醒し人と関わりたいと願っていると言われており、家族など人との繋がりを実感出来る働きかけを行う事で、言葉以上の安心を得る事ができ、comfortが満たされPICS等の合併症予防に繋がると考える。
【結論】1.discomfort状態の精神的側面に着目したケア介入がPICSの予防に繋がる。2.人工呼吸器患者は、身体的、精神的、スピリチュアル的苦痛が相互に影響し合い、discomfort状態になっている。