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[PD10-03] DESIGN-RⓇ正しくつけれている?
Keywords:DESIGN-RⓇ
褥瘡対策は2002年度に「褥瘡対策未実施減算」が施行され、2004年度には「褥瘡患者管理加算」、2006年度には褥瘡対策未実施減算が廃止され「褥瘡ハイリスク患者ケア加算」が新設、2012年からは入院基本料に組み込まれることになりました。医療機関はすべての入院患者に対し褥瘡対策を実施することが必要となりました。つまり看護師にとって褥瘡のアセスメントを行うことが日常業務となったのです。その際に作成される褥瘡対策に関する診療計画書の中に褥瘡評価スケールとしてDESIGNが組み込まれたことにより、多くの施設で使用されるようになりました。 DESIGNとは2002年に日本褥瘡学会学術委員会が開発した褥瘡状態判定スケールです。その後経過と同時に重症度が見られるように、それぞれの項目の点数の重みづけが行われ、DESIGN-RⓇとして公表されました。そして2020年、「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」と「臨界的定着疑い」が追加されDESIGN-RⓇ2020となり現在に至ります。 クリティカル領域においては生命維持に関わる医療処置が第一優先となります。患者の多くは合併症のリスクを抱えており、循環動態の不安定な状況や治療に関連した医療機器装着による定期的な体位変換制限、褥瘡予防に必要と言われる30度以下の頭側挙上体位がクリティカル領域では人工呼吸器関連肺炎の発症リスクとなるため推奨されないなど褥瘡予防ケアが患者に提供できない時があります。 褥瘡の治療にはまずは予防的ケア、発生した褥瘡には早期発見、適切な局所治療を行うことが大切で す。適切な治療を行うためには褥瘡を評価し、褥瘡の状態に応じて創傷被覆材や外用薬を選択する ことが重要です。褥瘡の状態をきちんと評価することが、適切なケアにつながり治癒の促進が期待でき ます。 当院では褥瘡を評価するためのツールとしてDESIGN-RⓇを使用しています。 しかし看護記録において褥瘡の状態を正しく評価できていないことが散見されます。 2020年に褥瘡リンクナースを対象としたアンケートでは、DESIGN-RⓇの評価に自信があるかとの問いに「ある、とてもある」と答えた割合は0%、「ない、あまりない」は60%でした。また、褥瘡リンクナース対象に褥瘡回診時、褥瘡の創状態を見てDESIGN-RⓇで評価してもらい、皮膚排泄ケア認定看護師が評価したものを基準に7項目について、一致率を算定しました。褥瘡状態評価件数35件に対し、DESIGN-RⓇの採点の7項目全てが一致した割合は0%でした。 なぜDESIGN-RⓇで褥瘡の状態を正しく評価できないのでしょうか。 当院でのクリティカル領域におけるDESIGN-RⓇ評価の現状と問題点、今後について皮膚排泄ケア認定看護師の立場から考えていきたいと思います。