第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

Presentation information

パネルディスカッション

[PD10] 意外と知らない?日常で行われる看護実践のピットフォール

Sun. Jun 12, 2022 11:40 AM - 12:50 PM 第6会場 (総合展示場 311-313会議室)

座長:田村 冨美子(聖路加国際病院)
   門田 耕一(岡山大学病院)
演者:宮脇 奈央(国家公務員共済組合連合会 新別府病院)
   竹田 智子(飯塚病院)
   仮屋崎 通子(一般財団法人平成紫川会 小倉記念病院)

12:05 PM - 12:30 PM

[PD10-02] 鎮痛・鎮静・せん妄スケールをケアに活かしたい〜ピットフォールを回避するには〜

○竹田 智子1 (1. 飯塚病院)

Keywords:鎮痛スケール、鎮静スケール

人工呼吸器や体外循環装置の装着が必要な患者にとって、適切な鎮痛・鎮静管理が行われることは、患者の苦痛の軽減だけでなく、早期離床や合併症の予防にとって非常に重要である。近年多くの医療施設では、疼痛スケールとしてNumerical Rating Scale(NRS),Behavioral Pain Scale(BPS),Critical-Care Pain Observation Tool(CPOT)。鎮静・せん妄に関するスケールとして、Sedation-Agitation Scale(SAS),Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS),Confusion Assessment Method for the Intensive Care Unit(CAM-ICU), Ramsay Scale などを使用した患者管理が行われている。
 2013年米国集中治療医学会よりPADガイドラインが公表され、2018年にはPADISへ改訂された。それとともにスケールを使用しての鎮痛・鎮静評価は、さらに有用性あるものと認識され、ICUに限らず多くの医療現場で定着するようになった。
鎮痛・鎮静スケールの定着により、疼痛の程度・鎮静の深度を測定し評価した結果は、バイタルサインと同等に重要な内容として記録されている。しかし記録された後、その内容は有効活用されているだろうか。
 スケールを使用する目的は、患者を同じ指標で観察・評価し医療者間で共有することである。しかし実際はそれだけにとどまらず、患者が最適な状態で治療に向かうためのツールとして、治療・ケアに活用することが必要である。鎮痛・鎮静についても評価された内容が単独ではなく、ベッドサイドリハビリ、面会のタイミング、人工呼吸器離脱のタイミング、患者の希望や日常性の獲得など、全体的なスケジュールを考慮し管理されることが理想である。
 鎮痛・鎮静スケールを使用する上でのピットフォールは、「測定・評価し、結果を記録に残す」という作業だけを繰り返し、その内容を有効活用せず終わってしまうことではないか。
 当院ICUでは患者の早期離床・合併症予防を目指す中で、鎮痛・鎮静管理をケアに活かすことを重要項目の一つとし、看護師の意識・知識・ケア実践の向上を目指した取り組みを行なった。その取り組みを紹介し、スケールを使用した評価をケアに活かすことについて検討したい。