第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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パネルディスカッション

[PD4] 本当に実践できてる?ABCDEFGHバンドル

Sat. Jun 11, 2022 11:40 AM - 1:00 PM 第8会場 (総合展示場 E展示場)

座長:古賀 雄二(川崎医療福祉大学)
   山田 奈津子(帝京大学福岡医療技術学部)
演者:剱持 雄二(青梅市立総合病院 集中治療室)
   小川 哲平(奈良県立医科大学附属病院)
   白坂 雅子(福岡赤十字病院)
   池田 優太(東海大学医学部付属病院 集中治療室)

12:40 PM - 1:00 PM

[PD4-04] せん妄ケアチームから広げるABCDEFGHバンドルの取り組みとその課題
−どう進めていく?F・G・H−

○池田 優太1 (1. 東海大学医学部付属病院 集中治療室)

Keywords:ABCDEFGHバンドル、PICS、PICS-F

【目的】近年、PICS(Post Intensive Care Syndrome)が注目されている。PICSとは、ICU退室後に生じる身体・認知・精神障害である。このPICSは患者だけでなく、PICS-F(Family)とされ家族にもうつ、不安、PTSDなどの精神障害を生じることがわかってきている。このPICSの予防に期待されているのがABCDEFGHバンドルである。当院ICUでは、2018年度よりせん妄ケアチームを結成し、せん妄ケアの浸透と定着を目指し、活動を行なった。2019年度にはせん妄ケアからPICSにまで活動範囲を広げ、ABCDEFGHバンドルに基づく介入を目指した。
【活動内容方法】ABCDEFGHバンドルのチェック表(以下チェック表)の内容は、せん妄ケアチームのメンバーの議論を踏まえて作成した。内容は以下の通りである。A:1)NRS≧3、CPOT≧2で経過している2)RASS:-2~0の浅い鎮静である3)RASS:+1以上ではないB:4)自発呼吸トライアルの評価が実施されているC:5)毎日のA+Bがされている6)ドルミカムを使用していないD:7)各勤務1回のCAM-ICU評価はされている8)せん妄アセスメントシートが使用されているE:9)早期リハビリテーション介入している10)ヘッドアップやROMを実施している11)理学療法士が介入しているF:12)退院支援計画書が立案されている13)家族の面会があるG:14)申し送り時にこのチェック表を用いているH:15)せん妄のパンフレットを患者家族に渡している16)思いやりカレンダー(カレンダーに患者へのメッセージやリハビリの内容・看護師名の記載、家族や患者本人のリハビリ中の写真などがあるカレンダー)を使用している上記内容を項目としたチェック表を作成し、実践した。この活動を通してA・B・C・D・Eは定着した。しかし、F・G・Hについては課題が残された。Fの課題は、COVID-19の影響による面会制限である。これに対しては、WEB面会を導入したものの、十分ではなかった。Gに関しては、周知不足による申し送り時にチェック表が活用されなかったため、申し送りに関するルールづくりが必要と考える。Hに関しては、パンフレットの活用をより推進すべきであった。さらに、PICS-Fを予防するためにはABCDEFGHバンドルとともに、急性期における患者家族の意思決定を支援しACP(Advance Care Planning)を考えることも重要である。今後は、PICS、PICS-FとともにACPについても自施設の課題と捉え、多職種とともに検討していきたい
【結語】自部署においてA・B・C・Dは定着したが、F・G・Hの実践に課題が残った。自施設の課題をより明確にし、改めてABCDEFGHバンドルの活用方法を考える機会としたい。