第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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シンポジウム

[SY12] 集中治療室の安楽の確保に向けた環境を考える

Sun. Jun 12, 2022 1:20 PM - 2:50 PM 第9会場 (総合展示場 F展示場)

座長:芝田 里花(日本赤十字社和歌山医療センター)
   河原崎 純(済生会横浜市南部病院)
   田口 豊恵(京都看護大学 看護学部)
   花山 昌浩(川崎医科大学附属病院 高度救命救急センター)
   坂木 孝輔(東京慈恵会医科大学附属病院)
   村野 大雅(パラマウントベッド株式会社)

1:20 PM - 1:45 PM

[SY12-01] 集中治療室の光環境と患者のサーカディアンリズムを調整するためのケアの重要性

○田口 豊恵1 (1. 京都看護大学 看護学部)

Keywords:集中治療室、光環境、サーカディアンリズム

看護の祖であるフローレンス・ナイチンゲールの生誕から200年が経ちました。著書の1つである看護覚え書9章 陽光の冒頭では、「直接射し込む太陽の光が病人には必要なのである。もし事情が許すならば、太陽の光がかげった部屋にそのまま病人を置きっぱなしにするよりも、陽を追いかけながら部屋の向きに沿って病人を連れ動いた方よい。・・・科学的な解説を調べなくても、太陽の光が人間の身体に目にもそれとわかる現実の効果をもたらすことを我々は認めるに違いない」と述べられています。生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持ちます。ヒトにおいても体温やホルモン分泌などからだの基本的な機能は約24時間のリズムを示すことがわかっています。この約24時間周期のリズムはサーカディアンリズムと呼ばれ、本間ら(1989)によると、ヒトの視床下部に体内時計があり、睡眠-覚醒・ホルモン分泌・体温変化等の時間的なコントロールを行い、生活サイクルの基盤となっていることが明らかになっています。また、サーカディアンリズムは、様々な刺激によって変化しますが、物理的な刺激では光の影響が最大であることが分かっています。前述したナイチンゲールの著書では、光の重要性のみならず、サーカディアンリズムの調整についても予測していたのではないかと思われます。私達はいくつもの人工的な光に囲まれて生活を送っています。治療の場である集中治療室においても光は不可欠です。照明用光源には白熱灯や蛍光灯等がありますが、近年では長寿命であることがアドバンテージであるLED(発光ダイオード)の導入が進んできています。
 今回は、以下の2つのことをお伝えしようと考えています。1つ目は、照明用光源のもつ特長や集中治療室の光環境の実態調査についてです。筆者の研究成果に加え、集中治療室のベッド周囲の照度を昼夜において数回測定した結果について報告します。2つ目は、集中治療室に入室している患者のサーカディアンリズムの調整を目的としたケアについて先行研究や筆者の研究成果を用いて考察したいと思います。集中治療中の患者が安全かつ安楽な光環境で時間を過ごすための看護についてフロアーの皆さまとともに活発なディスカッションができることを楽しみにしております。