第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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シンポジウム

[SY12] 集中治療室の安楽の確保に向けた環境を考える

Sun. Jun 12, 2022 1:20 PM - 2:50 PM 第9会場 (総合展示場 F展示場)

座長:芝田 里花(日本赤十字社和歌山医療センター)
   河原崎 純(済生会横浜市南部病院)
   田口 豊恵(京都看護大学 看護学部)
   花山 昌浩(川崎医科大学附属病院 高度救命救急センター)
   坂木 孝輔(東京慈恵会医科大学附属病院)
   村野 大雅(パラマウントベッド株式会社)

1:45 PM - 2:10 PM

[SY12-02] 集中治療室管理中の音環境の現状と提供すべき看護援助の検討

○花山 昌浩1 (1. 川崎医科大学附属病院 高度救命救急センター)

Keywords:音環境、騒音、安楽

一般的に騒音とは音の中でも不快に感じる音とされており、基準を超えた場合、睡眠障害や不安症状、せん妄などを生じるストレス要因になる可能性を指摘されている。本邦において集中治療室における音環境についての研究は1990年頃より行われており、集中治療室における看護師が抱えるテーマの1つであると言える。World Helth Organization(WHO)は、病院環境において一定のレベル以下に騒音を抑えて管理することを推奨しているが、先行研究からは推奨されている基準を超えているという報告も多く見られている。集中治療室では生命の危機的状態な患者が管理されている。そのため、多数の医療機器が使用されており、モニターアラーム音やシリンジポンプや輸液ポンプのアラーム音が作動している。中でもモニターアラーム音は患者の状態悪化を知らせるアラームはなくてはならないと考えられる一方で、誤警報が含まれる場合も多く患者にとって騒音となっていて、安楽を阻害している要因となっている。アラーム音の他にも心電図モニターの心拍同期音や人工呼吸器の動作音やHigh flow nasal cannula(HFNC)などの避けられない音環境への対策についても検討する必要がある。医療機器から発生する騒音の他にも留意すべき騒音もICUには存在している。当施設のICUはオープンフロアと個室が混在しており、特にオープンフロアで管理されている患者にとって足音や話し声の他にエアコンの作動音やフロア全体に響くナースコールなどは騒音として捉えられる。音環境の面から看護師も患者が安楽に療養生活を過ごしていけるように様々な介入を行っている。例えば、前述したモニターアラーム音についてはアラーム設定をルーティン化した数値ではなく、患者の病態や状態に合わせた数値に設定することや医療機器のアラーム音量の調整を行うなどして騒音を減らして環境を整えている。他にも簡便に実施できるものとして耳栓を使用しての騒音対策や、施設によってはノイズキャンセリングのイヤホンやヘッドホン、消音スピーカーなどを使用して対策をとっている所もある。しかしながら、音環境の調整については課題も散見している。例えば、看護師が患者の容体について声かけをすることで安心や安楽を感じる患者がいる一方で、今は声をかけないで欲しいと思う人にとっては看護師の声かけは不快な音になってしまう場合もある。他にも患者の覚醒やリラックス、遮音効果を促す目的で音楽をかけることもあるが、これについても患者の年齢、性別、嗜好、病態などを考慮し、個々の状態に合わせて音楽を流さなければ、不快な音として捉えられる。あらゆる音は患者の背景によっては安楽に繋がり、一方で騒音にもなり得るという状況で看護師が何を考え、音環境をどのように整えて実践しているのかという観点から当院ICUの音環境の実際と援助の在り方について検討する。