[O12-2] ECPR症例に対処できる実践能力の習得に向けて~他部署とカンファレンス・シミュレーションを通して~
研究目的 ECPR導入について、カンファレンスやシミュレーションを実践し、他部署との連携と役割を明確化し、フローチャートを作成することでスムーズにECPRの導入ができる。
研究方法 当救命救急センターに勤務する看護師28名を対象とした。
ECPRについての救急看護師と他部署との勉強会、シミュレーション、ミーティングを行い、フローチャート作成をした。勉強会・シミュレーション前後で、理解度の向上や不安についての項目でアンケートを行なった。
倫理的配慮 アンケート調査は無記名とし、個人が特定されないようプライバシーに配慮した。本研究以外には使用しないことを説明、また、当院の研究倫理審査委員会の了承を得た。
結果
1.事前アンケートの回収率は92%であった。ECPR導入については「不安」と答えたのが60%。内容はイメージがつかない事や他部署との連携に対する不安、慣れない場所での物品に関する不安であった。
2.勉強会は計4回実施し参加率は76%であった。
3.限られた人数でPCPS挿入と心肺蘇生を同時に行うため、救急看護師とアンギオ室看護師でカンファレンスを行い、役割の明確にした。
4.カンファレンスやシミュレーションでの意見をもとに、ECPRの流れや救急看護師の役割を可視化するため、フローチャートを作成した。
5. ECPRシミュレーションを救急医師・看護師、循環器医師、アンギオ室看護師、ME、放射線技師、救急隊を含め2回実施した。実践後の課題として、輸液準備や物品の配置、情報の引継ぎ、貴重品の保管方法などがあげられた。アンギオ室看護師を含めてフローチャートの修正を行なった。
6.動画撮影でのフィードバック
シミュレーションを動画撮影し、関連部署へもフィードバックした。
7.机上シミュレーション
救急・アンギオ室看護師を対象に机上シミュレーションを2回実施した。
8.シミュレーション後の意識調査
シミュレーションへの全体参加率は68%であった。勉強会やシミュレーションなどを実施し、救急看護師へ再度ECPRへの意識調査アンケートを行なった。取り組みを通して、80%の救急看護師がECPRの流れを理解できたと回答した。しかし、取り組み後も50%の看護師が不安を抱えていることがわかった。ECPRに対する気持ちの変化については、「まぁまぁ対応できる」という回答が60%であった。その他自由記載ではアクションカードの使用や応援体制の整備が求められた。また、繁雑な業務の中で対応できるか不安、定期的なシミュレーションの必要などの意見もあった。研究期間中に実際ECPR症例が1件あり、これまで119番通報からPCPS挿入までの平均時間は67分を要していたものが、ECPR導入後は56分と11分の時間短縮に成功した。
考察
2016、2017年の当救命救急センターにおけるCPA総数212件のうち、初期波形がVf/VT件数は19件であった。先行研究では心停止後41分以内にPCPS装着で社会復帰率が56%という蘇生率のデータが得られている。シミュレーションを通して、ECPRの一連の流れをイメージすることでお互いの役割や動きを把握し、より質の高い看護が提供できると考える。多職種で意見交換を行い、シミュレーションの実施、フローチャート作成などECPR導入のベース作りを行ったことは救命率をあげるための時間短縮に繋がった。さらにチームとしてのモチベーションも高められた。フローチャート作成やシミュレーションは実践力向上に効果的であったと考える。
研究方法 当救命救急センターに勤務する看護師28名を対象とした。
ECPRについての救急看護師と他部署との勉強会、シミュレーション、ミーティングを行い、フローチャート作成をした。勉強会・シミュレーション前後で、理解度の向上や不安についての項目でアンケートを行なった。
倫理的配慮 アンケート調査は無記名とし、個人が特定されないようプライバシーに配慮した。本研究以外には使用しないことを説明、また、当院の研究倫理審査委員会の了承を得た。
結果
1.事前アンケートの回収率は92%であった。ECPR導入については「不安」と答えたのが60%。内容はイメージがつかない事や他部署との連携に対する不安、慣れない場所での物品に関する不安であった。
2.勉強会は計4回実施し参加率は76%であった。
3.限られた人数でPCPS挿入と心肺蘇生を同時に行うため、救急看護師とアンギオ室看護師でカンファレンスを行い、役割の明確にした。
4.カンファレンスやシミュレーションでの意見をもとに、ECPRの流れや救急看護師の役割を可視化するため、フローチャートを作成した。
5. ECPRシミュレーションを救急医師・看護師、循環器医師、アンギオ室看護師、ME、放射線技師、救急隊を含め2回実施した。実践後の課題として、輸液準備や物品の配置、情報の引継ぎ、貴重品の保管方法などがあげられた。アンギオ室看護師を含めてフローチャートの修正を行なった。
6.動画撮影でのフィードバック
シミュレーションを動画撮影し、関連部署へもフィードバックした。
7.机上シミュレーション
救急・アンギオ室看護師を対象に机上シミュレーションを2回実施した。
8.シミュレーション後の意識調査
シミュレーションへの全体参加率は68%であった。勉強会やシミュレーションなどを実施し、救急看護師へ再度ECPRへの意識調査アンケートを行なった。取り組みを通して、80%の救急看護師がECPRの流れを理解できたと回答した。しかし、取り組み後も50%の看護師が不安を抱えていることがわかった。ECPRに対する気持ちの変化については、「まぁまぁ対応できる」という回答が60%であった。その他自由記載ではアクションカードの使用や応援体制の整備が求められた。また、繁雑な業務の中で対応できるか不安、定期的なシミュレーションの必要などの意見もあった。研究期間中に実際ECPR症例が1件あり、これまで119番通報からPCPS挿入までの平均時間は67分を要していたものが、ECPR導入後は56分と11分の時間短縮に成功した。
考察
2016、2017年の当救命救急センターにおけるCPA総数212件のうち、初期波形がVf/VT件数は19件であった。先行研究では心停止後41分以内にPCPS装着で社会復帰率が56%という蘇生率のデータが得られている。シミュレーションを通して、ECPRの一連の流れをイメージすることでお互いの役割や動きを把握し、より質の高い看護が提供できると考える。多職種で意見交換を行い、シミュレーションの実施、フローチャート作成などECPR導入のベース作りを行ったことは救命率をあげるための時間短縮に繋がった。さらにチームとしてのモチベーションも高められた。フローチャート作成やシミュレーションは実践力向上に効果的であったと考える。