第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

救急外来看護

[O12] O12群 救急外来看護①

2019年10月4日(金) 14:00 〜 15:00 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:望月 桂(杏林大学医学部付属病院)

[O12-4] 救急外来からの入院病床の選定に対する一考察

中 亮子, 馬場 友子 (市立岸和田市民病院 救急センター)

【はじめに】救急外来から緊急入院した患者に対して、適切な入院病床を選定することは患者が安全で安楽な入院生活を送る上で重要である。しかし、救急外来受診患者は、急激な発症で経過が把握しにくいことや原因不明なことも多い。そのうえ治療反応などの予測を踏まえて選定することが必要であり、適切な入院病床の選定が困難なことがある。当院における後ろ向きの検討では、早期警告スコア(NEWS)が高いほど、救急病棟への入院を選定していた。しかし、一般病棟に緊急入院した後24時間以内に急変した中に、NEWS 0~9点の患者がいることもわかった。今回、一般病棟に緊急入院し24時間以内に急変した患者の背景を分析することで救急外来からの入院病床の選定に対する示唆を得たいと考えた。【目的】救急外来から一般病棟へ緊急入院した患者のうち24時間以内に急変した患者の背景を分析する【研究方法】調査期間:平成30年4月1日~平成30年10月31日 調査対象:救急外来から一般病棟に緊急入院した患者のうち、24時間以内に急変している患者7名 調査内容:主訴、年齢、性別、既往歴、服薬歴、検査データ、来院時と入院直前のバイタルサイン【倫理的配慮】データは個人が特定されないように番号化し分析後破棄した。【結果】救急外来から一般病棟に緊急入院した患者は770名であり、24時間以内に急変した患者は7名だった。平均年齢は70歳(34~89歳)、 NEWS 0~9点であった。背景には、胆管炎、慢性呼吸器疾患の既往、合成副腎皮質ホルモン剤の服用、アシデミアの存在、CRPの上昇、入院直前のバイタルサインが来院時に比べて安定していなかった。【考察】来院後よりバイタルサインが安定していない患者は、呼吸回数は25回/分以上であった。急変の前兆についてSchein1が、呼吸数の中央値は平均29±1回/分と上昇していたと述べられており、呼吸回数増加は急変の予測に重要と考える。よって呼吸回数が安定しない患者の病床選定は注意が必要である。バイタルサインが正常から逸脱していても、代償機能を用いて救急外来では恒常性を保っていた。高齢者はその後代償機能が破綻し24時間以内に急変を起こしていた。土田2)は加齢により免疫応答が低下することで、38度以上の発熱や白血球数、CRPが高値などといった炎症所見や自覚症状が顕著に出現しにくいと述べている。当院で24時間以内に急変していた高齢者の背景にはCRPが高値、かつNEWS 5~9点であった。よって、高齢者においてCRPが高値の場合には、より重篤な状態となっていると考えられる。そのため、NEWS 5点以上の感染症に罹患している高齢者は救急病棟を選定することが望ましいと考える。既往歴に慢性呼吸器疾患があり合成副腎皮質ホルモン剤を服用中やCRPが高値の患者は入院後に呼吸状態が悪化していた。合成副腎皮質ホルモン剤を使用している場合は感染してもマスキングされて、発熱を伴わず軽い症状に抑えられる。来院時にCRPが高値の場合には慎重に入院病床を選定する必要がある。また、アシデミアの患者も急変していた。アシデミアの状態は細胞機能障害を引き起こすと知られている。そのため、急変対応が迅速に行える入院病床の選定が患者にとって安全と考える。【結論】救急外来からの緊急入院患者において、来院時から入院直前までのバイタルサインが改善していない患者やアシデミアの状態、既往歴に慢性呼吸器疾患のある患者、炎症反応が高値の患者は急変の可能性を考慮し、入院病床の選定が必要である。