第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

救急外来看護

[O13] O13群 救急外来看護②

2019年10月4日(金) 15:10 〜 16:00 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:赤松 有紀子(社会福祉法人恩賜財団 大阪府済生会野江病院)

[O13-5] 「事故」により外来受診する小児患者家族への「事故予防指導」にむけて~救急外来受診小児患者の現状からの考察~

横山 奈緒実, 田中 秀明, 冨田 由美子, 下鶴 有紀 (松戸市立総合医療センター)

【はじめに】 A病院の「家族支援チーム(Family Support Team:FAST)」は、不適切な療育環境にある子どもと家族に対するサポートなどを中心に活動している。外傷など外因性の要因での受傷のうち、特に家庭内での受傷で入院しているケースにおいては、不適切な療育環境であることも考慮し、情報収集や今後の事故予防指導を行っている。しかし、このような指導を行えているのは入院したケースに限られており、実際にはその何十倍もの割合での外来受診患者が存在していると考えられる。そこで今回、救命救急センターの外来に外因性疾患で受診した15歳以下の小児患者の状況をまとめ、外来で何ができるかを考察することとした。

【倫理的配慮】 患者は個人が特定されない。発表に関しては施設の倫理委員会の承認を得た。

【方法】2018年1月から3月にA病院救急外来を受診した15歳以下の小児外来患者について、電子カルテから「年齢」「受診時間」「主訴」「診断名」「診療科」及び異物誤飲を含む外傷など事故のケースにおいては「受傷状況」を抽出した。それに併せて、FAST記録によってそれらの中でのFAST介入ケースを照合した。その後、抽出されたデータを元に、救急外来を受診する小児患者の主訴・診療科、事故で受診する小児患者の割合をまとめた。さらに、受診理由からFAST介入が必要と思われるケースであるか否かを小児救急看護認定看護師数名で検討し、実際のFAST介入の有無との差異を比較検討した。

【結果・考察】3ヶ月間に救急外来を受診した小児患者の495件(67%)が小児科医により診察され、救急科医診察が222件(30%)であった。小児科医診察のケースで外因性のものは15件であり、そのほとんどは異物誤飲であり、事故予防指導が必要であるという点で13件がFAST介入必要であったが、実際にFASTへつながり介入されていたのは1件であった。小児科以外の救急科診察ケースは、頭部打撲と外傷によるものがほとんどであった。目撃者のある屋外での事故や交通外傷を除いた76件は、目撃者がなく実際の詳細が不明であることや、家庭内での出来事であることから「不適切な療養環境」である可能性を考慮するとFAST介入が望まれるケースとなるが、実際にFAST介入したものは10件であった。これらから、FAST介入が必要なケースであっても外来受診のみでその後のフォローにつながっていないことが多くあることが明らかとなった。外来受診で気付ける小さな事象へ対応することによって、今後の事故予防・虐待予防へつながる可能性があると考える。今後、救急外来でのFAST介入必要事例のピックアップ方法を検討し、外傷フォローアップ外来など何らかの場に繋げていくシステムを構築していきたい。