[PD4-3] 超高齢化社会におけるプレホスピタルケアの在り方 ~アドボケーターとしての役割期待~
近年、我が国の高齢者人口は一貫して増加の一途を辿り、平成30年10月現在28.1%、全救急搬送に占める高齢者割合も、58.8%(平成29年度)と過去最高を記録し、まさに人類史上初の超高齢化社会に突入している。高齢者を取り巻く環境も変化し、65歳以上の過半数が「単独世帯」「夫婦のみ世帯」であり、60歳以上の約半数(51%)が「自宅」での最期を希望している。当院があるA市も、高齢者人口(27.4%)や高齢者のみ世帯(29.6%)共に、増加し続けている。また、当院Drカー管轄地域は、市内でも特に高齢者率の増加が著しく、老々介護世帯や高齢者単独世帯が多い地域でもある。救急現場で働く看護師は、今後さらに高齢者の救急搬送が主要となる医療情勢を踏まえ、プレホスピタル現場においても、高齢患者やその家族に寄り添う看護を提供していく必要がある。今回、2018年度から過去3年間のDrカー活動データと、Drカーナースが経験した高齢者対応を振り返り、高齢者に求められるDrカー活動について考察する。
当院に帰院した65歳以上の割合は、全体の76%を占めている。また、要請場所の特徴として、自宅や事故現場が66%と最も多く、次いで施設28%となっている。疾患別に見ても、内因性72%、CPA22%、外傷5%と、内因性疾患やCPAがほとんどを占め、転機としては、入院50%、帰宅32%、永眠17%、転院1%であった。Drカーが要請される現場は、緊急度/重症度共に高い症例が多いため、患者救命が最優先される。活動現場では、Drカースタッフと救急隊が連携しながら、治療の同意を得るような説明の実施、施錠や忘れ物の確認、また搬送途中に患者家族の連絡先確認、治療方針の再確認などに努めている。しかし、時間軸が重要視される状況下では、患者家族に治療説明がなされても、高齢者は現状を正確に理解し、患者本人や家族の意向に沿った返答ができないまま、治療が進んでしまうことがある。また、キーパーソンとなる家族が存在しなかったり、意思決定可能な家族への連絡に難渋することもある。そのため、患者家族の意向が確認できないまま治療が遂行されることで、救命処置実施後に処置行為の中止を希望されるケースが時折発生する。これらの問題は、超高齢化社会が進むにつれ、さらに深刻化していくことが予測される。その他にも、約3割以上が搬送後帰宅に至っているため、帰宅支援という視点も視野に入れ現場活動する必要があると考える。搬送を優先するがあまり、帰宅するための手段や介助具を忘れたまま患者を搬送したり、自宅での日常生活に不安を抱き、療養型や施設への転院を希望するケースなどである。Drカーで自宅などの現場に訪問しているからこそ、帰宅時の患者状態と自宅環境を踏まえ、帰宅後の日常生活が可能かの判断ができると考える。また転院を希望した際、スムーズに受け入れできる体制も十分に整っていないため、高齢者がすぐに自宅や地域へ帰れるような施設間連携体制の構築も今後の課題といえる。
私たちプレホスピタル現場で活動する看護師として、様々な社会背景を持った高齢者に対し、「患者救命」という使命だけでなく、限られた現場活動の中でも、患者家族に寄り添い、アドボケーターとして「患者中心の医療」を実現していくことが求められる。そのためには、救命処置と同時に患者家族のニードを早期から捉え、現場から問題点を抽出した上で、医師と患者との間に立ち、コーディネート機能を発揮しながら、看護実践に繋げていくことが必要である。
当院に帰院した65歳以上の割合は、全体の76%を占めている。また、要請場所の特徴として、自宅や事故現場が66%と最も多く、次いで施設28%となっている。疾患別に見ても、内因性72%、CPA22%、外傷5%と、内因性疾患やCPAがほとんどを占め、転機としては、入院50%、帰宅32%、永眠17%、転院1%であった。Drカーが要請される現場は、緊急度/重症度共に高い症例が多いため、患者救命が最優先される。活動現場では、Drカースタッフと救急隊が連携しながら、治療の同意を得るような説明の実施、施錠や忘れ物の確認、また搬送途中に患者家族の連絡先確認、治療方針の再確認などに努めている。しかし、時間軸が重要視される状況下では、患者家族に治療説明がなされても、高齢者は現状を正確に理解し、患者本人や家族の意向に沿った返答ができないまま、治療が進んでしまうことがある。また、キーパーソンとなる家族が存在しなかったり、意思決定可能な家族への連絡に難渋することもある。そのため、患者家族の意向が確認できないまま治療が遂行されることで、救命処置実施後に処置行為の中止を希望されるケースが時折発生する。これらの問題は、超高齢化社会が進むにつれ、さらに深刻化していくことが予測される。その他にも、約3割以上が搬送後帰宅に至っているため、帰宅支援という視点も視野に入れ現場活動する必要があると考える。搬送を優先するがあまり、帰宅するための手段や介助具を忘れたまま患者を搬送したり、自宅での日常生活に不安を抱き、療養型や施設への転院を希望するケースなどである。Drカーで自宅などの現場に訪問しているからこそ、帰宅時の患者状態と自宅環境を踏まえ、帰宅後の日常生活が可能かの判断ができると考える。また転院を希望した際、スムーズに受け入れできる体制も十分に整っていないため、高齢者がすぐに自宅や地域へ帰れるような施設間連携体制の構築も今後の課題といえる。
私たちプレホスピタル現場で活動する看護師として、様々な社会背景を持った高齢者に対し、「患者救命」という使命だけでなく、限られた現場活動の中でも、患者家族に寄り添い、アドボケーターとして「患者中心の医療」を実現していくことが求められる。そのためには、救命処置と同時に患者家族のニードを早期から捉え、現場から問題点を抽出した上で、医師と患者との間に立ち、コーディネート機能を発揮しながら、看護実践に繋げていくことが必要である。