[RTD15-2] A病院における院内救急医療体制構築に向けた救急看護認定看護師としての活動
1.はじめに
A病院の院内救急医療体制は、コードブルー体制(以下ハートコールとする)は数年前から開始されているが、年間数件の発動となっており、ほとんどのファーストコールは主治医、当直医コールとなっている。また、RRS(Rapid Response System)構築も困難であり、院内救急医療体制の課題は山積している。今回、A病院の院内救急医療体制の構築に向けて、救急看護認定看護師としての活動について報告する。
2、研究目的
A病院の病院内救急医療体制の課題と救急看護認定看護師の活動について検討する
3.研究方法
1)A病院の病院内救急医療体制の課題の抽出
2)病院内救急医療体制の構築のための救急看護認定看護師の活動を検討
4.倫理的配慮
本研究は、長崎みなとメディカルセンターの倫理委員会にて承認を得た。
5.結果
1)A病院の病院内救急医療体制の課題の抽出
①ハートコールの分析
平成27年は6件であり、また、28年においても6件であった。しかし、平成29年においては、24件と増加した。その24件を分析した結果、心肺停止例が15件(62%)、心肺停止以外が9件(38%)であり、心肺停止事例において、心肺停止前に気づいている症例は10件(67%)、不明症例は5件(33%)であった。心肺停止する前に気づいた症例10件の全ての症例において、バイタルサインの異常が認められており、呼吸の異常については、9件(90%)見られていた。
②救急科医師の対応
救急医が不在の為、院内救急医療体制の構築として、リーダシップをとる医師がおらず、また、ハートコール後の振り返りを行うシステムもなく、個々、チーム医療としての課題や院内救急医療体制を構築させる話し合う機会も難しい状況である。
2)病院内救急医療体制の構築のための認定看護師の活動を検討
①院内教育
平成27年より、全職員対象のBLS研修の実施について徹底し、新人看護師には患者急変対応を実施した。平成28年、29年、30年には、新人看護師を対象に「気づきコース(4時間)、」全看護職員についても「気づきコース(90分)」を行い、特に、ハートコール体勢を浸透させるために誰でも発動できる事を周知した。また、任意のコースではあるが、看護職員を対象に、急変対応コース(270分;90分×3)を開始させた。
②院内相談(コンサルテーション)
平成29年10月より、ハートコール後の報告書の提出を義務付け、すべての事例ではないが、各病棟から依頼があった場合や報告書の内容で振り返る必要がある場合に限って、病棟や対応した看護師と話し合う機会を作ることができている。
6.考察
院内救急医療体制の課題として、ハートコール件数が少ないことを問題視しており、ハートコール体制の周知として、BLSをはじめ、院内急変対応の研修を行うことで、ハートコールの発動件数が増え、教育の一定の効果があったと考える。心肺停止前のハートコールも増えているが、10件のハートコールは実際に気づいているにも関わらずハートコール、主治医コールがされていなかった。遡及的にRRSの構築を図る必要はあるが、医師の体制も含め、今後の大きな課題である。ハートコール後の報告書提出を義務化し、かつ、振り返る場を設けることで、今まで見えてこなかった、現場の問題点を抽出することができ、迅速にその課題について対応することも可能となった。
A病院の院内救急医療体制は、コードブルー体制(以下ハートコールとする)は数年前から開始されているが、年間数件の発動となっており、ほとんどのファーストコールは主治医、当直医コールとなっている。また、RRS(Rapid Response System)構築も困難であり、院内救急医療体制の課題は山積している。今回、A病院の院内救急医療体制の構築に向けて、救急看護認定看護師としての活動について報告する。
2、研究目的
A病院の病院内救急医療体制の課題と救急看護認定看護師の活動について検討する
3.研究方法
1)A病院の病院内救急医療体制の課題の抽出
2)病院内救急医療体制の構築のための救急看護認定看護師の活動を検討
4.倫理的配慮
本研究は、長崎みなとメディカルセンターの倫理委員会にて承認を得た。
5.結果
1)A病院の病院内救急医療体制の課題の抽出
①ハートコールの分析
平成27年は6件であり、また、28年においても6件であった。しかし、平成29年においては、24件と増加した。その24件を分析した結果、心肺停止例が15件(62%)、心肺停止以外が9件(38%)であり、心肺停止事例において、心肺停止前に気づいている症例は10件(67%)、不明症例は5件(33%)であった。心肺停止する前に気づいた症例10件の全ての症例において、バイタルサインの異常が認められており、呼吸の異常については、9件(90%)見られていた。
②救急科医師の対応
救急医が不在の為、院内救急医療体制の構築として、リーダシップをとる医師がおらず、また、ハートコール後の振り返りを行うシステムもなく、個々、チーム医療としての課題や院内救急医療体制を構築させる話し合う機会も難しい状況である。
2)病院内救急医療体制の構築のための認定看護師の活動を検討
①院内教育
平成27年より、全職員対象のBLS研修の実施について徹底し、新人看護師には患者急変対応を実施した。平成28年、29年、30年には、新人看護師を対象に「気づきコース(4時間)、」全看護職員についても「気づきコース(90分)」を行い、特に、ハートコール体勢を浸透させるために誰でも発動できる事を周知した。また、任意のコースではあるが、看護職員を対象に、急変対応コース(270分;90分×3)を開始させた。
②院内相談(コンサルテーション)
平成29年10月より、ハートコール後の報告書の提出を義務付け、すべての事例ではないが、各病棟から依頼があった場合や報告書の内容で振り返る必要がある場合に限って、病棟や対応した看護師と話し合う機会を作ることができている。
6.考察
院内救急医療体制の課題として、ハートコール件数が少ないことを問題視しており、ハートコール体制の周知として、BLSをはじめ、院内急変対応の研修を行うことで、ハートコールの発動件数が増え、教育の一定の効果があったと考える。心肺停止前のハートコールも増えているが、10件のハートコールは実際に気づいているにも関わらずハートコール、主治医コールがされていなかった。遡及的にRRSの構築を図る必要はあるが、医師の体制も含め、今後の大きな課題である。ハートコール後の報告書提出を義務化し、かつ、振り返る場を設けることで、今まで見えてこなかった、現場の問題点を抽出することができ、迅速にその課題について対応することも可能となった。