第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

救急看護師教育

[RTD5] RTD5群 救急看護師教育

Fri. Oct 4, 2019 10:30 AM - 11:30 AM RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:背戸 陽子(日本医科大学付属病院 医療安全管理部)

[RTD5-2] コードブルーの応援にかけつけた看護師が力を発揮することができたと感じる要因

大地 文子, 福田 ひろみ, 蔵本 真理, 勝占 智子 (徳島赤十字病院)

【はじめに】A病院では,院内急変時に職員を収集し緊急蘇生を行う体制(以下コードブルーとする)を導入し,急変時対応に関する物品や教育体制を整備している.しかし,コードブルーの応援にかけつけた看護師からは,自身の活動について「力を発揮することができた」「力を発揮することができなかった」と両極の意見がでた.より質の高い急変時対応のためには,力を発揮することができたと感じる要因を明らかにする必要があると考えた.【目的】応援にかけつけた看護師が力を発揮することができたと感じる要因を明らかにし,急変時対応の質の向上に繋がる一助とする.【方法】A病院看護師456名に独自に作成した質問用紙を用いてアンケート調査を行った.質問用紙内容は個人属性,コードブルー要請時に応援にかけつけた経験の有無,コードブルー要請時応援にかけつけた時の活動を振り返って,力を発揮することができたと感じたか(リッカート尺度),環境要因(場所・時間帯・人員・物品の過不足・物品の配置)連携要因(リーダー医師の存在・患者情報・自分の役割・看護処置の実施・看護処置内容の周知)個人要因(救急分野の勤務経験・二次救命処置受講歴・コードブルーの活動歴・以前のコードブルー活動の振り返り)とした.回収後のデータは統計ソフトSPSS(Ver.18.0)を使用し,「力を発揮することができたと感じた群」「力を発揮することができなかったと感じた群」にグループ化し各質問項目との関連性をχ2検定またはFisherの正確検定を用いて分析した.【倫理的配慮】A病院倫理委員会の承認を得て実施した.個人が特定されないように記号化し,全データの管理は研究メンバーのみが行い研究終了後,速やかに破棄することとした.【結果】456名の看護師に質問用紙を配布し263名から回答が得られた(回収率57.7%).有効回答は256名であった(有効回答率98.5%).力を発揮することができたと感じる要因として,人員(p=0.046),看護処置の実施(p<0.001),自分の役割(p<0.001),救急分野の所属経験(p<0.001),コードブルーの活動歴(p=0.004),他者との振り返り(p=0.037)において有意差があった.【考察】人員は常に十分であり,多くの職員が現場にかけつけていることが推測された. 「力を発揮することができたと感じた群」は,複数の役割の中で,自分の役割を見つけ,その役割を遂行する事ができたのではないかと考えた.チームメンバー全員が,自分の役割を明確にし,主体的に看護処置が実施できれば,チーム全体のパフォーマンスの向上も期待できる. 救急分野所属経験のある看護師は,日頃より急変時対応を行う機会が多く,コードブルーの活動歴がある看護師は,研修などで学んだ知識を実際に活用できる機会が得られ,力を発揮できることに繋がったのではないかと考えられた.また,以前の活動の振り返りを自身で実施したか,他者と実施したかで結果に差がみられたのは,その経験を他者と共有することで,実践的なリフレクションが可能となっていたのではないかと考えられた.【結論】応援看護師が力を発揮できたと感じる要因は,人員,看護処置の実施,自分の役割,救急分野の所属経験,コードブルーの活動歴,他者との振り返りであった.質の高い急変時対応に繋がるよう,活動時の自分の役割を明確にすることや,他者との経験を共有できる振り返りが重要である.