第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

RRS

[RTD6] RTD(CN)6群 RRS

2019年10月4日(金) 14:10 〜 15:30 RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:丹羽 由美子(愛知医科大学病院)

[RTD6-5] 患者のためのRRSの確立を目指して

杉本 環 (日本大学医学部附属板橋病院)

A病院は,東京都区西北部にある38科1025床を有する特定機能病院である。担当医療圏である区西北部は,約192万人の人口を抱える医療圏であり,さらに,そのうちの2割が65歳以上の高齢者であることから,緊急度・重症度ともに高い患者の救急搬送が多いことや入院患者が状態変化を起こしやすい状況がある。また特定機能病院として,急変の徴候を捉えて対応することが求められており,2013年より救急医を中心としたMETスタイルでRRSを導入している。

ご存知のようにRRSは院内心停止の6.5~8時間前には警告的徴候が出現するとの報告から,バイタルサインや患者の身体観察により,数時間先の心停止を察知することができる可能性が示唆され,本邦でも院内急変予防のために導入されているシステムである。A病院では,METスタイルでの出動のため,救急医により適切かつ必要な処置がRRS起動さえ行われれば瞬時に実施されるという利点もあるが,看護師が医師へコールすることが主であるため,患者の状態変化が進行し顕在化してから要請されることが多く,コードブルーに近い死が切迫した状態で起動される症例が多いという課題があった。また患者の状態はRRS起動基準に達しているが,所謂低血圧ショックに至る前に要請すると,主治医やMETチームより看護師に起動の是非を問うコメントがあることがあり,看護師のRRS起動の判断に大きく影響を及ぼしているという2つの課題があった。

これらの課題解決に向けて,4つのコンポーネントにおける起動要素(求心路)である「病棟スタッフが患者の状態悪化を認識し,あらかじめ定められた起動基準に従って対応チームを起動すること」が,看護師が患者状態変化を察知した段階で迷いなくできるように取組んできたので,ここに報告する。