[RTD6-6] A病院におけるRapid Response System導入の評価と課題
A病院におけるRapid Response System導入の評価と課題
独立行政法人国立病院機構九州医療センター
○磯部雄一 石山亜耶 前田志穂
【背景・目的】
当院で発生した心肺停止を含める院内急変症例の検証会にて、事前に症状増悪の兆候が見られている事案が複数報告された。その為、院内急変を未然に防ぐためには、当院においてもRRSの導入が必要であるとの声があがったが、RRTの編成は難しかった。そこで、夜勤や当直等で院内に勤務する専門医師、診療看護師をホットラインでコールする独自のRRSを構築し、2018年11月より導入した。RRS導入後6か月目の評価と課題を明らかにする。
【方法】
2018年11月から2019年4月の6ヵ月間のRRS要請件数74件を対象とし、カルテから後ろ向き調査を実施。
【結果】
2018年11月から2019年4月の6ヵ月間でRRS要請件数は74件であった。要請理由で多かったのは、意識の変容が22件(20%)、酸素飽和度90%未満が21件(20%)、収縮期血圧SBP<90mmHgまたは>200mmHgが16件(14%)の順であった。要請理由が少ない項目は、尿量の低下が1件(0.01%)、制御不能の痛みが1件(0.01%)、心拍数HR<40または>130/分が9件(12%)であった。
要請の発生曜日別では、日曜日が15件(25%)、土曜日が11件(18%)と多く、水曜・木曜日が共に5件(8%)と少なかった。要請の発生時間帯では、6時から18時が23件(31%)、18時から翌6時の夜間帯が51件(69%)であった。
【考察】
RRS導入の結果、RRS導入前年度の院内急変件数31件と比較した場合、6ヵ月時点でRRS要請件数は2倍以上であり早期介入が可能になったことが示唆された。しかし、異常を早期発見するためには、心拍数や呼吸数、血圧の変化を急変の徴候として適確に捉えていくことが重要であり、バイタルサインの生理学的解釈法を再教育することが課題として明らかとなった。曜日・時間に関して、医師・看護師数が減少する日時にRRS要請件数が多い傾向にあるため、特に平日日勤帯で異常の早期発見を行い、適切な治療が行えるよう医師へ情報提供することが、看護師として重要な役割であると考える。
今後もRRSがスムーズに運用され、院内における重篤な事案を未然に防ぐことができるように、RRSについて普及に努めていくことが必要と考える。また、急変事案に対応できるようシミュレーションをまじえた教育も今後は強化していく必要があると考える。
独立行政法人国立病院機構九州医療センター
○磯部雄一 石山亜耶 前田志穂
【背景・目的】
当院で発生した心肺停止を含める院内急変症例の検証会にて、事前に症状増悪の兆候が見られている事案が複数報告された。その為、院内急変を未然に防ぐためには、当院においてもRRSの導入が必要であるとの声があがったが、RRTの編成は難しかった。そこで、夜勤や当直等で院内に勤務する専門医師、診療看護師をホットラインでコールする独自のRRSを構築し、2018年11月より導入した。RRS導入後6か月目の評価と課題を明らかにする。
【方法】
2018年11月から2019年4月の6ヵ月間のRRS要請件数74件を対象とし、カルテから後ろ向き調査を実施。
【結果】
2018年11月から2019年4月の6ヵ月間でRRS要請件数は74件であった。要請理由で多かったのは、意識の変容が22件(20%)、酸素飽和度90%未満が21件(20%)、収縮期血圧SBP<90mmHgまたは>200mmHgが16件(14%)の順であった。要請理由が少ない項目は、尿量の低下が1件(0.01%)、制御不能の痛みが1件(0.01%)、心拍数HR<40または>130/分が9件(12%)であった。
要請の発生曜日別では、日曜日が15件(25%)、土曜日が11件(18%)と多く、水曜・木曜日が共に5件(8%)と少なかった。要請の発生時間帯では、6時から18時が23件(31%)、18時から翌6時の夜間帯が51件(69%)であった。
【考察】
RRS導入の結果、RRS導入前年度の院内急変件数31件と比較した場合、6ヵ月時点でRRS要請件数は2倍以上であり早期介入が可能になったことが示唆された。しかし、異常を早期発見するためには、心拍数や呼吸数、血圧の変化を急変の徴候として適確に捉えていくことが重要であり、バイタルサインの生理学的解釈法を再教育することが課題として明らかとなった。曜日・時間に関して、医師・看護師数が減少する日時にRRS要請件数が多い傾向にあるため、特に平日日勤帯で異常の早期発見を行い、適切な治療が行えるよう医師へ情報提供することが、看護師として重要な役割であると考える。
今後もRRSがスムーズに運用され、院内における重篤な事案を未然に防ぐことができるように、RRSについて普及に努めていくことが必要と考える。また、急変事案に対応できるようシミュレーションをまじえた教育も今後は強化していく必要があると考える。