第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY4] ALL JAPAN!2020年東京オリンピック・パラリンピックコンソーシアムによる医療活動計画と危機管理

2019年10月5日(土) 10:10 〜 12:00 第1会場 (2F コンベンションホールA)

座長:森村 尚登(東京大学大学院医学系研究科救急科学), 佐藤 憲明(日本医科大学付属病院)

[SY4-6] オリパラ2020に向けた熱中症対策

三宅 康史 (帝京大学医学部救急医学/帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター 日本救急医学会)

オリパラ2020に向けての暑さ対策は、テロ、外国人、感染症、医療体制構築などと並んで大きな課題となっている。場所で分ければ、会場、入場チェックポイント、会場周辺、公共機関の最終駅から会場までに分けられ、人で分ければ、選手、そのスタッフ、VIP、ボランティアを含む主催者側スタッフ、観客、訪日外国人、身体障害者などに分類され、これをマトリックスにして、それぞれに効果的でコストのかからない暑さ対策をきめ細かく施す必要がある。2019年夏期のテストイベントにおける現地環境調査や各種暑さ対策グッズの効果確認、模擬患者を用いた応急処置訓練、搬送訓練、消防機関や医療機関との受入れ連絡訓練などを通して、課題の把握と対策が練られる。現地の水分補給可能な場所や身障者向けトイレ、バリアフリーかつ日射を遮る通路の準備とその周知、会場周辺の天候、WBGT(暑さ指数)や混雑状況がリアルタイムで確認できるようなwebシステム構築、海外に向けての日本の夏の熱中症のリスクとその対策の多言語での発信、そして10万人とも言われる関係者への熱中症教育も特に重要であり、医療者向け、非医療者ボランティア向けそれぞれの熱中症教育コンテンツの作成とその応急処置や搬送の技能研修計画と実施、会場別の危険場所の確認、救護所設置場所とその数、応急処置と搬送方法などを周知徹底の上、スムーズに行動できるよう訓練する必要がある。さらに最も懸念されるのが,主催者側スタッフの中でも医療従事者ではないボランティア、具体的に言えばファーストレスポンダーとヘルスケアサポートメンバー(担架隊)自身の熱中症対策である。ユニフォーム、事前の健康チェック、期間中の体調管理、水分補給と冷却、休憩時間や休憩場所の管理、活動中の見守りなど、周到な準備と厳重な見守りが重要である。
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