[MS1-01] 院外心停止と学校での救命教育の現状
Keywords:心肺蘇生、AED、救命教育、心肺蘇生教育
総務省消防庁の「令和元年度版 救急救助の現況」によると、日本の心原性心停止は年間79,400人発生している。そのうち一般市民目撃ありが25,756人で、1ヶ月生存率は13.9%、1ヶ月社会復帰率は9.1%である。年々、バイスタンダーによる応急手当実施率は増加しているものの、社会復帰率は10%にも満たない。これをを向上させるためには、全ての国民が心肺蘇生とAED(Automated external defibrillator: 自動体外式除細動器)が実施できる社会を目指す必要がある。
その方策として、JRC蘇生ガイドライン2015「普及・教育のための方策」の章では、AEDを含む心肺蘇生講習を学校教育に導入することを推奨している。日本臨床救急医学会は、日本救急看護学会をはじめとした関係学術団体、教諭、文部科学省、消防、日本赤十字社などからメンバーを募り、平成20年1月に「学校へのBLS教育導入に関する検討委員会」を設置し、「学校教育に実技実施を伴う救命教育を導入・普及する事」を目標に活動している。これは、院外心停止の救命率向上のために活動している国際的なネットワークであるGRA (Global Resuscitation Alliance)が提唱している10 stepsの1つ「学校とコミュニティにおけるCPR・AEDトレーニングを義務化」に当てはまり、世界の潮流に沿った活動となっている。
小学校、中学校、高等学校と系統的に救命教育を受けることは、全ての国民が心肺蘇生とAEDを身につける最も効果的な方法であると思われるが、現行の学習指導要領では中学校、高等学校において「心肺蘇生・AED」の記載はあるものの、必ず実習を行う記載が無いため、学校保健会による「学校における心肺蘇生と AED に関する調査報告書」(平成30年)では6-7割しか授業が行われていない。実施できない理由としては、「お金がなくて資機材が揃えることができない」「授業を実施する時間がない」「そもそも指導仕方が分からない」が上げられ、実施できている学校でも消防や医療従事者などの外部講師に依存しているところは多い。
委員会ではこのような状況に対して、医療従事者、教育関係者、心肺蘇生普及団体と連携をしながら、児童・生徒を対象にした心肺蘇生講習を学校教諭へ公開授業として提示することで、教諭自らが児童・生徒に“救命教育”として心肺蘇生講習を開催できるように支援を行ってきた。また、児童・生徒の発達段階や学校の時間割に適した指導コンセンサスの作成、学校教員を対象とした指導に役立つ教材の提供等の活動も行っている(日本臨床救急医学会ホームページ参照)。最近では公益財団法人日本AED財団と連携し、各地域で学校での救命教育をテーマに、公開授業とシンポジウムを組み合わせたフォーラムを開催している。その他、学校安全の観点から「学校での緊急時対応計画EAP(Emergency Action Plan)」を作成、公開している。
しかし、全ての国民が救える命を救えるようになるためには、このような活動に加えて、それぞれの地域での医療従事者の活動も大切となってくる。中学校は平成29年、高等学校は平成30年に学習指導要領が改訂され、令和3年以降には心肺蘇生とAEDは実習を通して身につけることが明記された。全国の学校で救命教育を行う環境は整いつつあるため、学校側の阻害要因をさらに軽減するためにも医療従事者によるサポート体制の強化が必要となる。医療従事者の中でも人数が多く、児童・生徒の親として学校とも関わることも多い看護師は、その役割の中心になる必要がある。特に普段からICLSコースやBLSコースでインストラクターとして活動を行っている救急看護師が、主導的に学校での救命教育を支えることで、地域と病院の架け橋となるだけでなく心停止救命率の向上にも貢献できると考える。関わりのある学校への救急看護師の働きかけを期待する。
その方策として、JRC蘇生ガイドライン2015「普及・教育のための方策」の章では、AEDを含む心肺蘇生講習を学校教育に導入することを推奨している。日本臨床救急医学会は、日本救急看護学会をはじめとした関係学術団体、教諭、文部科学省、消防、日本赤十字社などからメンバーを募り、平成20年1月に「学校へのBLS教育導入に関する検討委員会」を設置し、「学校教育に実技実施を伴う救命教育を導入・普及する事」を目標に活動している。これは、院外心停止の救命率向上のために活動している国際的なネットワークであるGRA (Global Resuscitation Alliance)が提唱している10 stepsの1つ「学校とコミュニティにおけるCPR・AEDトレーニングを義務化」に当てはまり、世界の潮流に沿った活動となっている。
小学校、中学校、高等学校と系統的に救命教育を受けることは、全ての国民が心肺蘇生とAEDを身につける最も効果的な方法であると思われるが、現行の学習指導要領では中学校、高等学校において「心肺蘇生・AED」の記載はあるものの、必ず実習を行う記載が無いため、学校保健会による「学校における心肺蘇生と AED に関する調査報告書」(平成30年)では6-7割しか授業が行われていない。実施できない理由としては、「お金がなくて資機材が揃えることができない」「授業を実施する時間がない」「そもそも指導仕方が分からない」が上げられ、実施できている学校でも消防や医療従事者などの外部講師に依存しているところは多い。
委員会ではこのような状況に対して、医療従事者、教育関係者、心肺蘇生普及団体と連携をしながら、児童・生徒を対象にした心肺蘇生講習を学校教諭へ公開授業として提示することで、教諭自らが児童・生徒に“救命教育”として心肺蘇生講習を開催できるように支援を行ってきた。また、児童・生徒の発達段階や学校の時間割に適した指導コンセンサスの作成、学校教員を対象とした指導に役立つ教材の提供等の活動も行っている(日本臨床救急医学会ホームページ参照)。最近では公益財団法人日本AED財団と連携し、各地域で学校での救命教育をテーマに、公開授業とシンポジウムを組み合わせたフォーラムを開催している。その他、学校安全の観点から「学校での緊急時対応計画EAP(Emergency Action Plan)」を作成、公開している。
しかし、全ての国民が救える命を救えるようになるためには、このような活動に加えて、それぞれの地域での医療従事者の活動も大切となってくる。中学校は平成29年、高等学校は平成30年に学習指導要領が改訂され、令和3年以降には心肺蘇生とAEDは実習を通して身につけることが明記された。全国の学校で救命教育を行う環境は整いつつあるため、学校側の阻害要因をさらに軽減するためにも医療従事者によるサポート体制の強化が必要となる。医療従事者の中でも人数が多く、児童・生徒の親として学校とも関わることも多い看護師は、その役割の中心になる必要がある。特に普段からICLSコースやBLSコースでインストラクターとして活動を行っている救急看護師が、主導的に学校での救命教育を支えることで、地域と病院の架け橋となるだけでなく心停止救命率の向上にも貢献できると考える。関わりのある学校への救急看護師の働きかけを期待する。