第22回日本救急看護学会学術集会

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会員企画セッション

[MS1] 会員企画セッション1

「心停止ゼロを目指した救命教育の普及と救急看護師の役割」

企画者 星豪人(医療法人社団 筑波記念会 筑波記念病院)

[MS1-02] 子どもたちの命を守るために

○前重 奈緒1 (1. 松前木材店 )

Keywords:救命教育

2004年5月 私たちの息子は学校で行われていたスポーツテストの1500m走のゴール間際に倒れ、そばにいらした先生方の救命処置や友達の声も届かず17歳2か月の命を閉じてしまいました。

小さいころから体を動かすことが好きでスポーツが得意だった息子がスポーツ中に倒れ亡くなってしまうことなど私たち夫婦には信じがたい出来事でした。

息子がなくなって一か月後にAEDが一般市民にも使用が可能となりAED、心臓突然死、救命という言葉が頻繁に私たちの目に飛び込んでくるようになりました。それらの言葉を調べていくうちに、救命講習がどれほど大切な行動であるかを知りました。自分の二本腕と少しの知識、そして一歩踏み出す勇気があれば救えるいのちがあることを知りました。息子の命は救えるいのちだったのです。私たち夫婦はそんな大切な事さえ知らずにいたのです。

子供たちの命を守るためにできるこんなに大切なことを、一人でも多くの方々にお知らせしたい、知ってほしい。そして学校での心停止による悲しい事故が少しでも無くなるようにと願い、今日まで活動を続けてまいりました。

学校管理下での心停止はAEDの普及、先生方への講習会の実施により大変少なくなっています。しかし、限りなく0に近づけることは可能なことだと思っております。夢と希望に満ちた子供たちの明日を守るのは私たち大人の役割です。

院外での心停止は、バイスタンダーの初動が生命を左右することを一番知ってらっしゃる医療従事者の方々が、教育現場で子供たちの安全教育を日々考えていらっしゃる教職員の方々に、救命行動の大切さ、質の高いスキル、そして命を思う心を伝えてくださることは、よりいっそう高い意識に導いていくのではないかと思っております。



思いもよらず私たちを苦しめたコロナの時代は改めて私たちに命の大切さを意識づけてくれました。自分の命を思い、家族の命を思い、自分の大切な人の命を思ったこの時の優しい思いを忘れることなく、教育の場に「いのちを思う心」を根付かせていくことが、今を生きた私たち大人の役割なのだと思っております。