[O1-14] 救急外来を受診した高齢者が帰宅に不安を訴える内容調査
Keywords:救急外来、高齢者、不安
【目的】
高齢者が救急外来受診後に帰宅可能と診断された際に病状や生活への不安を訴えることがある。今回A病院の救急外来を受診し帰宅の診断を受けた後に不安を訴えた高齢者の背景とその内容、看護師の関わりについて調査し救急外来受診後の不安を訴える高齢者の今後のケアについて考察する。
【方法】
2019年7月~12月に救急外来を受診し帰宅の方針となった75歳以上の患者カルテより来院方法、年齢、帰宅時の不安と内容、家族構成、認知症の有無、帰宅時の介入と内容を抽出した。
【定義】
帰宅時の不安:救急外来を受診し帰宅可能と診断した後に、患者や家族が入院希望や帰宅に対し不安を訴えること。
【倫理的配慮】
所属施設の管理者の許可を得て実施しデータはパスワード管理とし倫理的配慮に努めた。
【結果】
75歳以上の救急外来受診患者は1876名で全体の28%を占め、うち帰宅可能の診断を受けた患者が1263名だった。帰宅可能の診断を受けた患者1263名のカルテから帰宅時の不安の記録があったのは30名であった。年齢の内訳は75~79歳7名、80~84歳9名、85~90歳12名、90歳以上2名であった。帰宅時の不安の内容は病状に関することが15名、在宅生活に関することが15名であった。病状に関する不安の内訳は症状の進行、症状によるADLの低下、術後の再出血のリスクであった。在宅への不安を訴えていた患者の家族構成は独居5名、夫婦世帯4名、2世帯以上5名、不明1名であり、認知症あり3名、なし5名、不明1名であった。在宅への不安の理由はサポート不足、介護の負担、独居、ADL低下であった。
病状に関する不安を訴えた患者に対して看護師は全患者に介入をしていた。内容は医師への説明や症状の緩和への依頼、病状悪化時の対応の説明や専門医の診療を勧めていた。在宅の不安に対して看護師は帰宅後生活が可能かアセスメントし、他職種と連携や調整し地域へ繋ぐようにしていた。
【考察】
帰宅患者時の不安の内容は、病状の不安と在宅への不安が同様の割合であった。
病状の不安に対しては、医師が帰宅可能と診断した後も救急看護師は安心して帰宅できるように不安を傾聴し、医師へ説明の依頼や症状の緩和、症状悪化時の対応の説明、専門医の診療を勧めていた。山口1)は救急看護認定看護師の実践について「短い時間で患者-医療者間の認識のズレや不安・緊張といった救急患者特有の心理をつかみ、患者の不安を減らしながら入院するほどでもないことを納得してもらえるコミュニケーションや調整をしている」と示しておりA病院看護師もコミュニケーションや調整を行い救急看護認定看護師の看護と同様のことを行っていた。よって患者―医療者間の認識のズレを理解し、患者の不安の原因に対して介入することは重要であり今後深めていきたい。在宅の不安を訴えた患者の半数以上が独居や日中独居でありADL低下は生活を行う上で支障になると訴える患者もいた。看護師は独居やADLの低下などを理由に生活が難しいと判断した際には他職種と連携し調整をしていた。 野々上2)は帰宅時の支援において「医学的には入院適応ではないが、今まで何とか自立していた患者が急にADLが低下し、何らかの援助が必要になった場合に安全に帰宅させるためには、帰宅後の生活をイメージし、一時的に低下した能力を見守り・支援する必要がある」と述べており、A病院看護師は帰宅後の生活をイメージし、そこから社会資源を活用できるように調整していた。今回は後ろ向き調査の為、介入した内容が記録に残っていない可能性があり、今後は行った看護実践を可視化しつつ検証していきたい。
高齢者が救急外来受診後に帰宅可能と診断された際に病状や生活への不安を訴えることがある。今回A病院の救急外来を受診し帰宅の診断を受けた後に不安を訴えた高齢者の背景とその内容、看護師の関わりについて調査し救急外来受診後の不安を訴える高齢者の今後のケアについて考察する。
【方法】
2019年7月~12月に救急外来を受診し帰宅の方針となった75歳以上の患者カルテより来院方法、年齢、帰宅時の不安と内容、家族構成、認知症の有無、帰宅時の介入と内容を抽出した。
【定義】
帰宅時の不安:救急外来を受診し帰宅可能と診断した後に、患者や家族が入院希望や帰宅に対し不安を訴えること。
【倫理的配慮】
所属施設の管理者の許可を得て実施しデータはパスワード管理とし倫理的配慮に努めた。
【結果】
75歳以上の救急外来受診患者は1876名で全体の28%を占め、うち帰宅可能の診断を受けた患者が1263名だった。帰宅可能の診断を受けた患者1263名のカルテから帰宅時の不安の記録があったのは30名であった。年齢の内訳は75~79歳7名、80~84歳9名、85~90歳12名、90歳以上2名であった。帰宅時の不安の内容は病状に関することが15名、在宅生活に関することが15名であった。病状に関する不安の内訳は症状の進行、症状によるADLの低下、術後の再出血のリスクであった。在宅への不安を訴えていた患者の家族構成は独居5名、夫婦世帯4名、2世帯以上5名、不明1名であり、認知症あり3名、なし5名、不明1名であった。在宅への不安の理由はサポート不足、介護の負担、独居、ADL低下であった。
病状に関する不安を訴えた患者に対して看護師は全患者に介入をしていた。内容は医師への説明や症状の緩和への依頼、病状悪化時の対応の説明や専門医の診療を勧めていた。在宅の不安に対して看護師は帰宅後生活が可能かアセスメントし、他職種と連携や調整し地域へ繋ぐようにしていた。
【考察】
帰宅患者時の不安の内容は、病状の不安と在宅への不安が同様の割合であった。
病状の不安に対しては、医師が帰宅可能と診断した後も救急看護師は安心して帰宅できるように不安を傾聴し、医師へ説明の依頼や症状の緩和、症状悪化時の対応の説明、専門医の診療を勧めていた。山口1)は救急看護認定看護師の実践について「短い時間で患者-医療者間の認識のズレや不安・緊張といった救急患者特有の心理をつかみ、患者の不安を減らしながら入院するほどでもないことを納得してもらえるコミュニケーションや調整をしている」と示しておりA病院看護師もコミュニケーションや調整を行い救急看護認定看護師の看護と同様のことを行っていた。よって患者―医療者間の認識のズレを理解し、患者の不安の原因に対して介入することは重要であり今後深めていきたい。在宅の不安を訴えた患者の半数以上が独居や日中独居でありADL低下は生活を行う上で支障になると訴える患者もいた。看護師は独居やADLの低下などを理由に生活が難しいと判断した際には他職種と連携し調整をしていた。 野々上2)は帰宅時の支援において「医学的には入院適応ではないが、今まで何とか自立していた患者が急にADLが低下し、何らかの援助が必要になった場合に安全に帰宅させるためには、帰宅後の生活をイメージし、一時的に低下した能力を見守り・支援する必要がある」と述べており、A病院看護師は帰宅後の生活をイメージし、そこから社会資源を活用できるように調整していた。今回は後ろ向き調査の為、介入した内容が記録に残っていない可能性があり、今後は行った看護実践を可視化しつつ検証していきたい。