第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

救急外来看護

[O1] 一般演題1

[O1-13] Door to Puncture Time短縮を目指した取り組み~急性期血行再建フローチャートの開発~

○滝沢 拓也1、関山 裕一1、城田 智之1、小池 伸享1 (1. 前橋赤十字病院 高度救命救急センター)

Keywords:Door to Puncture Time、急性期血行再建フローチャート

【はじめに】
脳梗塞急性期治療における脳血管内治療予後規定因子として、発症から再灌流までの時間が重要とされている。理想的な治療関連時間として、来院から画像検査開始(Door to CT:D2C、CT to MRI: C2M)まで30分以内、来院から動脈穿刺(Door to Puncture: D2P)まで60分以内、来院から再灌流まで90分以内が提唱されている。しかし、当院でのD2Pは平均158.3分という現状であった。これは、脳神経外科医へのon callのタイミングの不明確さ、放射線科などの他職種との連携のマネージメントに時間がかかっていることが原因であると考えられた。それらを踏まえ、脳梗塞急性期治療による脳血管内治療の発症から再灌流までの時間短縮を目的に、当院救急外来では2017年4月より、急性期血行再建フローチャートを開発し、運用を開始した。急性期血行再建フローチャートの導入におけるdoor to puncture time短縮を目指した効果を検証したので報告する。
【方法】
当院に脳卒中疑いで搬送され、急性期血行再建を行った2017年3月以前の6名を介入前、2017年4月以降の32名を介入後としてD2C、C2M、MRIからt-PA投与開始までの時間(MRI to needle: M2N)、MRIから動脈穿刺までの時間(MRI to Puncture: M2P)、D2Pまでの時間をそれぞれ測定し、中央値(Me)【四分位範囲(IQR)】と共に比較検討した。時間の差はMann-WhitneyのU検定(P<0.05)を用い検定した。統計処理はExcelを用いた。
【倫理的配慮】
本研究は、当院倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】
D2C Me 17.5【IQR11.25-23】vs13.5【8-15】 P=0.118
C2M 31.0【14.25-54.5】vs20.0【13.5-29.25】 P=0.469
M2N 56.5【43.5-68.75】vs38.0【30.5-40.25】 P=0.145
M2P 113.0【63.75-127】vs54.0【44.25-60.75】 P=0.097
D2P 145.0【118.75-196】vs80.0【65.75-99】 P=0.002
D2Pにおいて導入後に有意に短縮を認めた。
【考察】
D2P以外の項目では有意差は得られなかったが、M2Pにおいて短縮の傾向を認める。Meの比較ではすべての項目で時間が短縮していた。導入後でIQRが狭まった要因としては、対象人数が導入後において多く、精度が向上したと推察される。フローチャートにて発症3時間以内かつCPSS2項目陽性の時点で脳神経外科医へon callを行うこと、放射線科などの他職種との連携のマネージメント、基準の時間(来院後10分以内にCT、30分以内にMRI、50分以内にt-PA開始、60分以内に脳血管造影開始)が統一できたこと、急性期血行再建決定のタイミングが明確になり、放射線科看護師の呼び出しや準備時間が総じて短縮したことが、D2P短縮の要因であると考えられた。今後、D2Pまでのどこに時間がかかっているのかを明らかにし、フローチャートの問題点を抽出することが課題である。