[O1-19] 救急外来での帰宅指導内容の充実を目指して
~帰宅パンフレットの作成を通して~
Keywords:帰宅指導、帰宅パンフレット
【目的】当院の救急外来(以下ER)は初期・二次救急医療を担っており、専任の看護師7名と一般外来の常勤看護師23名で対応している。ER受診者数は年間約8,000名で、2018年度の帰宅患者数は5,483名(69.5%)であった。患者の年齢層は幅広く、帰宅患者の診断名は多岐にわたっている。帰宅患者にはパンフレットを使用し、短時間で患者が必要とする情報を有効に伝達する必要があり(山口ら,2019)、当院では頭部打撲・外傷・感染性腸炎の患者には帰宅パンフレットを使用していた。しかし、看護師から「繁忙なときは帰宅指導をしないまま帰宅させている。」との意見があり、口頭での説明を出来ていないことがあった。また、非緊急の再受診や重症化するまで自宅療養するという事例もあった。そのため、ER受診後の患者が安全に自宅療養できることを目的として疾患別帰宅パンフレットを作成し、帰宅指導の充実を図った。
【方法】期間:2019年8月~2020年3月
方法: ①2018年度の帰宅患者の診断名143疾患のうち、帰宅後の生活指導が必要であると考えられる8疾患と既存の3疾患、計11疾患の帰宅パンフレットを作成した。項目は「疾患についての説明」「帰宅後の生活指導」「重症化した場合の対処方法」とした。「帰宅後の生活指導」では、食事や入浴など具体的な行動レベルの説明を入れた。また、症状が増悪した場合の早期再受診について明記した。2020年1月から使用を開始した。
②2019年10~11月と2020年2~3月にER受診後の帰宅患者が、30日以内の再受診者数と理由を調査し、比較した。
③ERで勤務する看護師30名に対し、帰宅パンフレットを用いた帰宅指導時の患者や家族の反応について、取り組み3か月後にアンケート調査を行った。
【倫理的配慮】この調査において、患者個人が第三者に特定されることがないよう配慮した。また、当院の看護部長承認を得た。
【結果】ER受診後の帰宅で、該当する患者には全件帰宅パンフレットを配布して帰宅指導をおこなった。帰宅パンフレット使用前2か月間は非緊急で再受診した者が2名、重症化による再受診が2名であったが、使用後2か月間では、非緊急や重症化による再受診は0名だった。帰宅パンフレット使用開始後でも、高齢の患者で自宅での創傷処置が正しく実施されず、治癒遅延に至った事例があった。取り組み後のアンケートでは、「患者や家族から『家に帰ったら注意点を忘れてしまうため助かる。』、『大きな文字で見やすいし、分かりやすい。』と言われた」との意見があった。
【考察】ER受診患者は帰宅時の指示を理解することに困難感を抱えていることが多い(山口ら,2018)が、非緊急や重症化による再受診者がいなかったことは、自宅での過ごし方や再受診の目安など、パンフレットによる指導が充足できていたと考える。しかし、パンフレットを用いた指導でも創傷治癒遅延がみられた事例があり、創傷処置のような技術を伴う紙媒体のみの帰宅指導では、自宅での実践に繋げることが難しいことがわかった。そのため、患者の年齢や生活環境をより考慮し、説明方法に工夫が必要であると考える。
今後は、患者の生活背景などをふまえた個別性のある帰宅指導ができるよう、スタッフを教育することが課題である。
【方法】期間:2019年8月~2020年3月
方法: ①2018年度の帰宅患者の診断名143疾患のうち、帰宅後の生活指導が必要であると考えられる8疾患と既存の3疾患、計11疾患の帰宅パンフレットを作成した。項目は「疾患についての説明」「帰宅後の生活指導」「重症化した場合の対処方法」とした。「帰宅後の生活指導」では、食事や入浴など具体的な行動レベルの説明を入れた。また、症状が増悪した場合の早期再受診について明記した。2020年1月から使用を開始した。
②2019年10~11月と2020年2~3月にER受診後の帰宅患者が、30日以内の再受診者数と理由を調査し、比較した。
③ERで勤務する看護師30名に対し、帰宅パンフレットを用いた帰宅指導時の患者や家族の反応について、取り組み3か月後にアンケート調査を行った。
【倫理的配慮】この調査において、患者個人が第三者に特定されることがないよう配慮した。また、当院の看護部長承認を得た。
【結果】ER受診後の帰宅で、該当する患者には全件帰宅パンフレットを配布して帰宅指導をおこなった。帰宅パンフレット使用前2か月間は非緊急で再受診した者が2名、重症化による再受診が2名であったが、使用後2か月間では、非緊急や重症化による再受診は0名だった。帰宅パンフレット使用開始後でも、高齢の患者で自宅での創傷処置が正しく実施されず、治癒遅延に至った事例があった。取り組み後のアンケートでは、「患者や家族から『家に帰ったら注意点を忘れてしまうため助かる。』、『大きな文字で見やすいし、分かりやすい。』と言われた」との意見があった。
【考察】ER受診患者は帰宅時の指示を理解することに困難感を抱えていることが多い(山口ら,2018)が、非緊急や重症化による再受診者がいなかったことは、自宅での過ごし方や再受診の目安など、パンフレットによる指導が充足できていたと考える。しかし、パンフレットを用いた指導でも創傷治癒遅延がみられた事例があり、創傷処置のような技術を伴う紙媒体のみの帰宅指導では、自宅での実践に繋げることが難しいことがわかった。そのため、患者の年齢や生活環境をより考慮し、説明方法に工夫が必要であると考える。
今後は、患者の生活背景などをふまえた個別性のある帰宅指導ができるよう、スタッフを教育することが課題である。