第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

COVID-19

[O10] 一般演題10

[O10-09] 救急・集中治療領域における重症COVID-19患者に対する家族看護について

○池条 咲希1、松本 昌子1、神谷 真帆1、崎 夢子1、丸尾 汐里1、近藤 可奈1、西田 岳史1、西谷 亜希子1、小中 俊江1 (1. 大阪急性期総合医療センター)

Keywords:重症COVID-19 、集中治療、家族看護、ニード、コーピング

【背景】

救急・集中治療領域における家族は、突然の受傷や疾患の重症化に直面し、その病状の複雑さや外観の変化、家族自身の生活の変化等により多くの衝撃や不安を経験する。このような状況下における家族のニードとコーピングに対する看護介入を実践する場として、面会時間が活用されていた。
しかし、重症COVID-19患者家族においては、感染拡大防止のために面会を許されておらず、家族に対する看護介入の実践をいかに工夫して行うかが求められていた。

【目的】

当センターの重症COVID-19患者家族に対して、最適な家族看護を行うために医師とともに実施した取り組みを報告する。

【方法】

研究デザイン「実践報告」

2020年3月以降に、当センターにてCOVID-19により入院加療を行った挿管患者27名の家族を対象に電子カルテより情報を収集した。

【倫理的配慮】

本研究は、個人が特定されないように配慮し、当センターにおける看護部看護研究委員会にて倫理的配慮の承認を得た。写真撮影の対象者は患者、家族に口頭で承諾を得ており、写真のデータは削除し不利益を被ることはない。

【結果】

Ⅰ.スマートフォンを利用したビデオ通話の実施:14名
ビデオ通話を実施した患者は、人工呼吸器管理、鎮静による管理、意識障害のある者がほとんどであり、看護師は患者の顔を映し、やり取りのサポートをした。家族は患者の改善している様子に喜び、涙を流しながら励ましの言葉をかけたり、厳しい病態の際も一生懸命名前を呼びかける反応があった。

Ⅱ.看護師による電話での精神的サポートや療養に関する疑問点の対応:3名
ビデオ通話を行えない家族には、看護師からの電話でより詳細な患者情報の伝達、不明点の確認を行い、家族より「医師や看護師からの連絡が心の支えになっています。」や「電話すると安心して眠れます。」などの反応があった。

Ⅲ.写真付きICU日記作成:11名
患者の写真のみでなく、診療の様子や患者周囲の医療機器、実際にケアを行っている様子や看護師からのメッセージを添えた。4名の患者家族より「大変嬉しいです。ありがとうございます。」などの返事があった。

Ⅳ.エンゼルケア後の写真撮影:2名
エンゼルケア後の顔写真を見た家族からは「思っていたよりきれいな顔をしていてよかったです」などの反応があった。

【考察】

Ⅰ.ビデオ通話は、家族が接近できなくとも患者の顔を見ることができたり、声掛けを行う場として活用できた。また、患者の現在の様子やケアの実施についての情報提供を行う場としても利用できたと考えられる。

Ⅱ.患者と接する機会が一番多い看護師との通話は、病状説明のみの場合と比べて、患者の現在の様子やケアの実施について情報提供をより詳細に行うことができ、傾聴することで不安の軽減に繋がったと考えられる。

Ⅲ.診察・ケアの様子や患者周囲の医療機器等を撮影し、スタッフがコメントを記載することで患者に提供された医療・ケア、療養環境を知らせることができた。また、軽快退院する患者にとっては、集中治療中の記憶の整理になり得たと考えらえる。

上記の取り組みにより、情緒的サポート、情報、接近、保証といった家族のニードを充足する一助となることができたと考えられる。

Ⅳ.死亡後の写真作成は、死亡確認後は治療をすべて終えた患者の安らかな顔を残すことで、大切な家族の死を受け入れる受容過程の支援となることが期待できる。

今後の課題は、本取り組みに対する実際の家族のニードとコーピングについて検討し、家族看護の質の向上に繋げることである。