[O11-04] A病院におけるRRS導入の現状と課題
Keywords:RRS、急変対応
【背景】
A病院は460床の救命救急センターを有する急性期病院である。急変対応システムは導入されており、急変対応後、ICU入室という流れをとることが多かった。しかしその中で、ICU入室が早い段階で行われていれば重症化が防げたと思われる事例がみられていた。そこで急変の覚知を早め、患者が重症化しないようRapid Response System(以下RRS)の導入を2019年10月より開始した。その導入経過と結果から今後の課題を考察したため、ここに報告する。
【倫理的配慮】
収集したデータは個人が特定されないように配慮し、学会発表に対しては所属施設看護局の承認を得た。
【導入までの経過】
2019年9月、医療安全センターが中心となり、集中治療/救急/総合診療科医師、ICU/一般病棟看護師、事務が参加したワーキンググループが行われた。急変予兆の気づきにはトレーニングが必要であるとされているが、RRS導入は早期に必要であると判断したため、要請基準は「呼吸数24回/分以上・呼吸異常、何かおかしい」のみとした。システム導入と要請基準の説明を医師、看護師等に対し研修会や院内webシステム等で周知を図った。要請は平日日中のみとし、集中治療/総合診療科医師とICU看護師が出動するシステムとした。
【結果】
カルテから情報を収集した。2019年10月~2020年4月で16件(月平均2.3件)の要請があった。要請職種別では医師からの要請が8件(50.0%)、看護師7件(43.85%)、理学療法士1件(6.25%)であった。要請内容の内訳では、要請基準において「呼吸数24回/分以上・呼吸異常13件」(81.25%)、「何かおかしい」1件(6.25%)、「その両方」2件(12.5%)であった。その他、すべての事例で要請者が要請基準以外の要請理由をあげており、「頻脈>130回/分」、「意識レベル低下」が多かった。覚知から要請までの時間は平均51分であった。処置内容としては「血液ガス採取」が7件と最も多く、「CT」5件、「レントゲン」「NHF・NPPV導入」各4件の順で多い状況となった。RRS介入後の療養場所は、「病室移動なし」12件(75.0%)、「病棟内病室移動」3件(18.75%)、「ICU転棟」1件(6.25%)となった。介入した患者の転帰は「自宅退院」3件(18.75%)、「転院」7件(43.75%)、「死亡」5件(31.25%)、「入院中」1件であった(2020年5月時点)。また期間内でのブルーコール(A病院急変対応システム)件数は8件であった。
【考察】
救命救急センターを有する急性期病院において、重症化は避けられない事態である。重症化を防ぐためRRS導入を行った結果、介入事例においてICU転棟に至らない事例が9割という結果となった。早期介入が行えていることが示唆された。今後ブルーコールの発生件数との推移を含め、評価していく必要がある。覚知から要請までの時間を要しているため短縮化することは課題であり、そのためには早期コールの重要性、危険なバイタルサインを的確に捉えていくための教育を行っていく必要がある。今回、要請基準項目を焦点化したため、呼吸に関する処置を要する事例が多かったことから、段階的に要請基準項目を増やす等の対策をとることでより覚知、早期対応へとつながる可能性はあると考える。すべての事例において要請基準以外の理由が挙げられていることから、介入は困難ではなく、取り組みが行える可能性が示唆されたと考える。フィードバックも含め、今後も体制を整えていくことが必要である。
A病院は460床の救命救急センターを有する急性期病院である。急変対応システムは導入されており、急変対応後、ICU入室という流れをとることが多かった。しかしその中で、ICU入室が早い段階で行われていれば重症化が防げたと思われる事例がみられていた。そこで急変の覚知を早め、患者が重症化しないようRapid Response System(以下RRS)の導入を2019年10月より開始した。その導入経過と結果から今後の課題を考察したため、ここに報告する。
【倫理的配慮】
収集したデータは個人が特定されないように配慮し、学会発表に対しては所属施設看護局の承認を得た。
【導入までの経過】
2019年9月、医療安全センターが中心となり、集中治療/救急/総合診療科医師、ICU/一般病棟看護師、事務が参加したワーキンググループが行われた。急変予兆の気づきにはトレーニングが必要であるとされているが、RRS導入は早期に必要であると判断したため、要請基準は「呼吸数24回/分以上・呼吸異常、何かおかしい」のみとした。システム導入と要請基準の説明を医師、看護師等に対し研修会や院内webシステム等で周知を図った。要請は平日日中のみとし、集中治療/総合診療科医師とICU看護師が出動するシステムとした。
【結果】
カルテから情報を収集した。2019年10月~2020年4月で16件(月平均2.3件)の要請があった。要請職種別では医師からの要請が8件(50.0%)、看護師7件(43.85%)、理学療法士1件(6.25%)であった。要請内容の内訳では、要請基準において「呼吸数24回/分以上・呼吸異常13件」(81.25%)、「何かおかしい」1件(6.25%)、「その両方」2件(12.5%)であった。その他、すべての事例で要請者が要請基準以外の要請理由をあげており、「頻脈>130回/分」、「意識レベル低下」が多かった。覚知から要請までの時間は平均51分であった。処置内容としては「血液ガス採取」が7件と最も多く、「CT」5件、「レントゲン」「NHF・NPPV導入」各4件の順で多い状況となった。RRS介入後の療養場所は、「病室移動なし」12件(75.0%)、「病棟内病室移動」3件(18.75%)、「ICU転棟」1件(6.25%)となった。介入した患者の転帰は「自宅退院」3件(18.75%)、「転院」7件(43.75%)、「死亡」5件(31.25%)、「入院中」1件であった(2020年5月時点)。また期間内でのブルーコール(A病院急変対応システム)件数は8件であった。
【考察】
救命救急センターを有する急性期病院において、重症化は避けられない事態である。重症化を防ぐためRRS導入を行った結果、介入事例においてICU転棟に至らない事例が9割という結果となった。早期介入が行えていることが示唆された。今後ブルーコールの発生件数との推移を含め、評価していく必要がある。覚知から要請までの時間を要しているため短縮化することは課題であり、そのためには早期コールの重要性、危険なバイタルサインを的確に捉えていくための教育を行っていく必要がある。今回、要請基準項目を焦点化したため、呼吸に関する処置を要する事例が多かったことから、段階的に要請基準項目を増やす等の対策をとることでより覚知、早期対応へとつながる可能性はあると考える。すべての事例において要請基準以外の理由が挙げられていることから、介入は困難ではなく、取り組みが行える可能性が示唆されたと考える。フィードバックも含め、今後も体制を整えていくことが必要である。