[O12-02] 救命救急センター看護師の初療対応に対するアサーションによる振り返りの効果
Keywords:救命救急センター、看護師、自己効力感、アサーション
Ⅰ 研究背景
A病院救命救急センターでは、3部署の看護師が1名ずつ初療対応に参加しており初療対応の質向上を図るために「初療クリニカルラダー」(以下初療ラダーとする)を作成し、運用してきた。初療ラダーⅠは基本的な初療対応が理解できる、Ⅱは初療対応が実践できる、Ⅲは主体的に初療対応が実践し、リーダーシップを発揮することができるとしている。B病棟看護師らは、初療ラダーⅠ~Ⅱ取得者が多く、初療対応に不安の声が多くあった。
Bandura1)は自己効力感が高いと、ストレスフルな状況に遭遇しても身体的・精神的な健康を損なわず、適切な対処行動や問題解決行動をしていけると述べている。その自己効力感を向上させるには、他者からみた自分の行動を振り返り、行動に対する意味づけを理解することで、成功体験や次はできるといった自己効力感の向上が期待できると言われている。そこで、ラダーⅡ取得中の看護師に対してラダーⅢ取得者がアサーションを用いて振り返りを行うことで初療に対する姿勢に変化があるのではないかと考えた。初療対応の振り返り方法においてアサーションを用いることで自己効力感が向上するのかを明らかにすることを目的に研究を行う。
Ⅱ 研究目的
初療ラダーⅡの看護師に対して、初療対応の振り返りにアサーションを用いることで自己効力感向上に効果があるのかを明らかにする。
Ⅲ 研究方法
研究デザインは質問紙調査で、研究対象者8名に対してGSES調査用紙を計2回実施。一度目のアンケート回収後よりアサーションを用いた振り返りを実施。ラダーⅢ取得者に対して研究者からアサーションを用いた振り返り方法を伝達した。2ヵ月間を介入期間とした。
Ⅳ 倫理的配慮
A病院看護部倫理委員会及び院の倫理委員会における審査の承認を受けて実施した。対象者には研究の目的と方法、倫理的配慮について文書を用いて説明した。GSESの提出を以って、研究に同意したものとみなした。
Ⅴ 結果
看護師8名に対してアンケートを配布し、回収率は100%であった。8名のうち、介入後GSESの点数が上昇したのは6名、低下した者は2名であり、平均+1.66であった。最高得点は+6点で、最低得点は-3点だった。介入回数の平均値は5.714回であった。介入前後でt検定を行った結果、有意差がみられなかった。また、介入回数と尺度の増減値の値を相関分析した結果、有意差は認められなかった。
Ⅵ 考察
ピアソンの積率相関係数、t検定では有意差は認められず今回の介入と自己効力感の向上に効果があったのかは明らかではない。しかし、8名中6名の自己効力感が向上しており、アサーションによる振り返りは効果があったと考えられる。Bundura1)は、自己効力感の認識に与える4つの影響を示しており、そのなかでも、「代理体験」、「言語的説得」は今回の介入に当てはめることが出来る。看護に対する他者からの良好な評価は看護師の働きがいを構成する心理的実感だと船越ら3)は述べており、他者からのフィードバックは効果的だったと考えられる。8名のうち2名は介入後に点数の低下がみられた。点数が低下したスタッフに関しては、ラダーⅢ取得者から初療記録や初療対応に対する評価をされることで、改善点の部分を反省点として捉え自己採点が厳しくなったのではないかと考える。
Ⅷ 結論
初療ラダーⅡ取得中の看護師に対して、初療対応の振り返りに、アサーションを用いることで有意差はみられなかったが、自己効力感向上に効果があった。
A病院救命救急センターでは、3部署の看護師が1名ずつ初療対応に参加しており初療対応の質向上を図るために「初療クリニカルラダー」(以下初療ラダーとする)を作成し、運用してきた。初療ラダーⅠは基本的な初療対応が理解できる、Ⅱは初療対応が実践できる、Ⅲは主体的に初療対応が実践し、リーダーシップを発揮することができるとしている。B病棟看護師らは、初療ラダーⅠ~Ⅱ取得者が多く、初療対応に不安の声が多くあった。
Bandura1)は自己効力感が高いと、ストレスフルな状況に遭遇しても身体的・精神的な健康を損なわず、適切な対処行動や問題解決行動をしていけると述べている。その自己効力感を向上させるには、他者からみた自分の行動を振り返り、行動に対する意味づけを理解することで、成功体験や次はできるといった自己効力感の向上が期待できると言われている。そこで、ラダーⅡ取得中の看護師に対してラダーⅢ取得者がアサーションを用いて振り返りを行うことで初療に対する姿勢に変化があるのではないかと考えた。初療対応の振り返り方法においてアサーションを用いることで自己効力感が向上するのかを明らかにすることを目的に研究を行う。
Ⅱ 研究目的
初療ラダーⅡの看護師に対して、初療対応の振り返りにアサーションを用いることで自己効力感向上に効果があるのかを明らかにする。
Ⅲ 研究方法
研究デザインは質問紙調査で、研究対象者8名に対してGSES調査用紙を計2回実施。一度目のアンケート回収後よりアサーションを用いた振り返りを実施。ラダーⅢ取得者に対して研究者からアサーションを用いた振り返り方法を伝達した。2ヵ月間を介入期間とした。
Ⅳ 倫理的配慮
A病院看護部倫理委員会及び院の倫理委員会における審査の承認を受けて実施した。対象者には研究の目的と方法、倫理的配慮について文書を用いて説明した。GSESの提出を以って、研究に同意したものとみなした。
Ⅴ 結果
看護師8名に対してアンケートを配布し、回収率は100%であった。8名のうち、介入後GSESの点数が上昇したのは6名、低下した者は2名であり、平均+1.66であった。最高得点は+6点で、最低得点は-3点だった。介入回数の平均値は5.714回であった。介入前後でt検定を行った結果、有意差がみられなかった。また、介入回数と尺度の増減値の値を相関分析した結果、有意差は認められなかった。
Ⅵ 考察
ピアソンの積率相関係数、t検定では有意差は認められず今回の介入と自己効力感の向上に効果があったのかは明らかではない。しかし、8名中6名の自己効力感が向上しており、アサーションによる振り返りは効果があったと考えられる。Bundura1)は、自己効力感の認識に与える4つの影響を示しており、そのなかでも、「代理体験」、「言語的説得」は今回の介入に当てはめることが出来る。看護に対する他者からの良好な評価は看護師の働きがいを構成する心理的実感だと船越ら3)は述べており、他者からのフィードバックは効果的だったと考えられる。8名のうち2名は介入後に点数の低下がみられた。点数が低下したスタッフに関しては、ラダーⅢ取得者から初療記録や初療対応に対する評価をされることで、改善点の部分を反省点として捉え自己採点が厳しくなったのではないかと考える。
Ⅷ 結論
初療ラダーⅡ取得中の看護師に対して、初療対応の振り返りに、アサーションを用いることで有意差はみられなかったが、自己効力感向上に効果があった。