第22回日本救急看護学会学術集会

Presentation information

一般演題

災害看護

[O4] 一般演題4

[O4-05] A病院で勤務する看護職員の災害対応に関する実態調査

○中野 英代1、今泉 香織1、松尾 照美1 (1. 佐賀大学医学部附属病院 高度救命救急センター)

Keywords:基幹災害拠点病院、災害対応、BCP

【はじめに】
 A病院は基幹災害拠点病院であり、災害が発生した際は被災地からの重篤な傷病者の受け入れ、広域搬送への対応、医療救護班の派遣など、災害時の医療救護活動の中核を担う役割がある。私たち看護師は院内において24時間365日勤務する職員数の最も多い職種であり、災害時においても第一線での対応が必須となる。そこで、A病院に勤務する看護職員に対して災害対応についての実態調査を行い、今後の課題を明らかにする。
【方法】
 A病院に勤務する看護職員518名(管理室、新採用者、パート職員、看護助手は除く)に対し、独自で作成した自記式質問紙による実態調査を行った。調査項目は①基本属性、②災害訓練・勉強会への参加の有無、③各部署における災害教育の実施状況、④BCP(事業継続計画)に関することについてであり、得られた結果を単純集計した。
【倫理的配慮】
 A病院看護部看護研究倫理審査会の承認を得た。また、得られた情報は個人が特定されないように配慮し、回収したアンケート用紙や調査データを保存するUSBメモリの取り扱いは厳重に管理した。
【結果】
 回収率は95%で、そのうち有効回答率は92%であった。
 災害医療や災害教育に興味はあるかでは、ある25%、少しある59%、あまりない13%、ない1%、どちらでもない2%であった。災害医療や災害教育に興味がある、またはすこしある人の中で、今までの研修参加率は、エマルゴ29%、実動訓練33%、スキルアップ研修39%であった。
 BCPの存在を知っているかでは、知っている46%、知らない54%であった。また、BCPの存在を知っている人の中で、部署内の行動内容を理解できているかでは、理解している8%、少し理解している45%、あまり理解していない39%、理解していない7%、どちらでもない1%であり、BCPに沿って行動することができるかでは、できる3%、少しできる27%、あまりできない44%、できない21%、どちらでもない5%であった。
【考察】
 災害医療や災害教育に対して84%の看護職員が興味を持っているにもかかわらず、災害に関する研修の参加率は30~40%であったことから、通常業務を行いながらでの研修参加は難しく、学ぶ機会が少ないことが伺える。そのため、今後はこれらの研修の開催時期を考慮したり、e-learning(ナーシングスキル)の活用を行い時間場所を問わず学べる環境を調整していく必要がある。また、BCPの周知率が46%とやや低値であった。これはBCPの管理を各部署に任せていたため、保管できていない部署もあったことが原因であると考える。昨年度末に災害対策ワーキングにおいて、再度BCPを全部署に配布しているため、今後は当該師長に保管管理と看護職員への周知を依頼することでBCPの意識づけにつながると考える。
 今回の結果をもとに、今後はBCPの周知を徹底するとともに、それぞれの内容の理解を促し、行動につなげていく必要があるため、全体研修や各部署においてBCPについての研修を計画していく必要がある。