第22回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題

重症患者看護

[O5] 一般演題5

[O5-03] 人工呼吸器管理中の気管内吸引方法による吸引効率の検討ー閉鎖式吸引と開放式吸引の違いー

○竹本 洋輔1、勝手 淳一1、西川 和彦 (1. 四国こどもとおとなの医療センター)

キーワード:閉鎖式吸引、開放式吸引、気管内分泌物

人工呼吸器管理中の気管内吸引方法による吸引効率の検討
―閉鎖式吸引と開放式吸引の違い―

四国こどもとおとなの医療センター 救命救急センター
○竹本洋輔,勝手淳一,西川和彦

キーワード:閉鎖式吸引,開放式吸引,気管内分泌物
【研究目的】
閉鎖式吸引と開放式吸引とで吸引効率に差があるのか検証することにより,実際の吸引量と自己で感じている吸引量の相違がわかる.その結果をもとに,患者の状態にあった気管内吸引手技を選択に活かし,より質の高い呼吸ケアの一助とする.
【研究方法】
1.研究デザイン:実験研究,比較研究
2.データ収集期間:2019年6月〜2019年9月
3.データ収集方法:人工呼吸器を使用し,模擬気管に作成した模擬痰を注入する.閉鎖式吸引と開放式吸引を行い,吸引量を測定する.
4.データ分析方法:人工呼吸器の設定と模擬痰の粘稠度と吸引方法別の全8群に分けてデータ分析を行う.測定して得られた値に対し,各CPAP群で模擬痰の粘稠度別に2群間でのt検定を行い,平均値の比較と,吸引効率の比較を行い,分析する.
【倫理的配慮】
人工呼吸器を用いた研究で,A病院倫理審査委員会の承認を得た.(倫理審査番号H31-16.)
国立病院機構四国こどもとおとなの医療センターにおける利益相反に関する開示事項はない.
【結果】
各CPAP群で模擬痰の粘稠度別にt検定を実施.高CPAP群の粘稠度中程度痰の閉鎖式吸引と開放式吸引,低CPAP群の粘稠度低い痰の閉鎖式吸引と開放式吸引,低CPAP群の粘稠度中程度痰の閉鎖式吸引と開放式吸引の組み合わせで(p<0.05)有意差を認めた.高CPAP群の粘稠度低い痰の閉鎖式吸引と開放式吸引の組み合わせは(p>0.05)と有意差を認めなかった.
【考察】
有意差を認めた3つの組み合わせで,開放式吸引の方が模擬痰を多く吸引することができた.生体肺との違いもあり,高CPAP群においては開放式吸引の吸引効率は高くなったと考える.気管吸引の合併症等、呼吸を総合的にみた場合閉鎖式吸引を第一選択とし,各施設における閉鎖式吸引手技の熟練度やコストなども含め気管吸引方法を検討していく必要があると考える.
【結論】
1.低CPAP群では吸引効率が閉鎖式吸引よりも開放式吸引のほうが良く,高CPAP群の低い粘稠度の場合は,開放式吸引よりも閉鎖式吸引の吸引効率が良い.
2.高CPAP群では,模擬痰の粘稠度により,閉鎖式吸引よりも開放式吸引の吸引効率が良い.
3.閉鎖式吸引と開放式吸引のメリットやデメリットを考慮し,患者の疾患やフィジカルアセスメントに基づいた吸引方法の選択と看護師の吸引手技の向上が重要である.