第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

家族看護

[O7] 一般演題7

[O7-01] 救急外来における家族への悲嘆ケアの現状と課題

○白矢 梨紗1、青木 友梨花1、矢野 愛実2、作田 裕美3 (1. 大阪市立大学医学部附属病院、2. 関西医科大学附属病院、3. 大阪市立大学 看護学研究科)

Keywords:救急看護、家族看護、悲嘆ケア

【目的】本研究の目的は救急外来における家族への悲嘆ケアの現状と課題を文献を通して明らかにすることである。

【方法】文献収集は以下のとおり実施した。国内文献は「医学中央雑誌web版」において、キーワードを「救急医療サービス」と「家族」、「グリーフケア」または「悲嘆」で検索し収集した。国外文献は「MEDLINE」と「CINAHL」を用い、キーワードは「family」と「Emergency Medical Services」、「grief」で検索し収集した。次に収集した文献を整理し文献カードを作成した。その後文献を精読し研究内容から「家族の悲嘆」、「悲嘆ケアの実施」、「悲嘆ケアに対する医療者の認識」の3つのカテゴリーに分類し、カテゴリーごとに救急外来における家族の悲嘆の実際と看護師による悲嘆ケアの現状と課題を見出した。倫理的配慮として文献の著作権の侵害にあたらないよう本研究で扱う文献は公表されているものとし、引用・参考文献名および引用・参考箇所を明確に記述した。

【結果・考察】国内文献は25件、国外文献は4件を分析対象とした。「家族の悲嘆」についての国内文献は14件だった。救急医療の場で家族は、目の前で起きている現実を受け止めかね、動揺・混乱し自責の言葉を口走るなど悲嘆の前兆の症状を示していた。「悲嘆ケアの実施」についての国内文献は17件、国外文献は2件だった。現在十分な悲嘆ケアを実施しているとする報告は少なかった。救急外来という場所の特徴、滞在時間の短さ等が看護師による十分な悲嘆ケアが実施できていない背景要因と考えられた。「悲嘆ケアに対する医療者の認識」についての国内文献は3件、国外文献は2件だった。国内外ともに家族への悲嘆ケアの必要性は認識しているものの、救急患者の死は医師・看護師にとってもストレスになっていると多く報告されていた。医師・看護師にとっては患者の死は日常的であり、自己防衛的にストレス対処を行っているのが現状である。これらより、家族への悲嘆ケアの充実のために、救急部スタッフはさらに家族の悲嘆についての知識を向上させ、家族に対する悲嘆ケアを充実させていくことが今後の課題であると考えられた。
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