第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 12.チーム医療

[OD1001] 10.チーム医療.看護管理

[OD1001-03] 急性冠症候群に対する初期対応ワークフローの導入

○澤邉 梨香1 (1. 筑波大学附属病院高度救命救急センター)

Keywords:急性冠症候群、ワークフロー、チーム医療

<目的>
A病院救急外来(以下ER)では、夜間帯は2~3人の看護師で勤務しており重複業務が多く、2020年より高度救命救急センターと位置づけられ救急車応需件数が増加している。とくに循環器内科ホットラインの設置に伴い、急性冠症候群(以下、ACS)が疑われる症例を受け入れ、循環器医師1名がオンコール対応で、患者・家族への説明や再灌流療法に必要な人員の召集等煩雑な業務を担っている。そこで、治療開始時間を短縮し質の高いケアを提供できるよう、医療者の役割を明確にしたACS初期対応にあたるワークフローの導入を試みたので報告する。なお学会発表にあたり、患者および医療者に対して不利益のないように配慮した。

<方法>
2019年1月1日~2020年12月31日の間、「胸痛」「胸部圧迫感」「絞扼感」を主訴とする患者を対象に、ACS初期対応ワークフローを用いて対応した。患者接触時には、ACS診療専用のチェックリストを用いて診察を開始し、限られた人員と時間の中で、検査や関係する部門への連絡を漏れがなく速やかに対応できるように医療者の役割を定めた。チェックリストに記録された時刻をもとに12誘導心電図、採血、ライン確保、カテーテル室入室までの所要時間を算出した。また、対応した医療者からフィードバックを得て、ワークフローとチェックリストの修正を随時行った。

<結果>
カテーテル室入室までの所要時間は、ワークフロー導入前は67分であったが、ワークフロー導入後は61分であり6分短縮した。検査までの時間には大きな差はなかったが、カテ室入室までの時間は6分の短縮となった。医療者からのフィードバックでは、業務整理ができたことへの肯定的な意見が多かった。とくに医師においては負担となっていた連絡作業が減ったことで本来の業務に集中して臨めるようになった。一方、医療者が集まるまでに急変となった事例や、連絡順の誤りがあったために臨床工学技士(以下ME)の集合が遅れた事例があったことから、連絡先の優先順位を強調した。また看護師がMEへ連絡するときは緊急の治療を伝えるだけではなく、到着後の連絡を貰えるように伝える内容を追加した。さらにチェック項目を明文化し、短時間で複数のことを同時に行うことによる実施漏れがないよう改善した。

<考察>
ワークフローの導入により医療者の役割が明確となり、再灌流療法までの時間も短時間ではあるが短縮できた。カテーテル室に入室するまでのさらなる時間短縮には、当直MEの配置や夜間・休日の緊急カテーテルの実施場所など構造面での調整が望まれる。チーム医療において、役割分担とそれに伴う綿密なコミュニケーションが重要である。
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