第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 12.チーム医療

[OD1001] 10.チーム医療.看護管理

[OD1001-02] COVID-19を対応する救命救急センタースタッフの心理的ストレスについて

○田牧 晴香1、國田 わかな1、佐藤 夢1、室岡 知世1 (1. 社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス海老名総合病院救命救急センター)

Keywords:COVID-19、ストレス、救命救急センター

【はじめに】A病院は2017年に神奈川県県央医療圏で唯一の救命救急センターを開設した.2020年2月にCOVID-19が日本で全国規模の市中感染へと拡がりを見せた.A病院でもCOVID-19の受け入れを開始し,次第にスタッフの肉眼的な疲弊,不安の声が増加した.全国的にもCOVID-19に関わる看護師のストレスが注目され,各学会,病院でもスタッフの心のケアの必要性を述べている.A病院では立ち上げ当初から救命救急センターに従事するスタッフに対しストレス調査のアンケートを実施している.今回COVID-19感染拡大によるストレスに対して下記に示す時期別のストレス推移と対策後の変化について結果を明らかにした.
【方法】①平時2019年12月,②COVID-19感染拡大初期2020年3月,③COVID-19感染拡大1年後2020年12月,④現在2021年3月にA病院救命救急センターに従事するスタッフを対象に,厚生労働省から発行されている職業性ストレス簡易調査票を用いたストレス調査の実施.①②の比較を(1),②③の比較を(2),③④の比較を(3)とする.厚生労働省の職業性ストレス簡易調査票は,A仕事について17項目(以下A),B最近 1ヵ月間のあなたの状態について29項目(以下B),C周りの方々について9項目(以下C),D満足度について2項目(以下D)で構成されている.2点以上の増減をストレスの変動とし,評価していく.【倫理的配慮】本研究は,A病院の倫理審査の承認を得て実施した.
【結果】(1)平時とCOVID-19感染初期を比較しA1名,B5名,C1名の増加.(2)COVID-19初期と1年後を比較しA7名,B14名,C3名,D1名の増加.この期間に医師からCOVID-19に関する最新の情報を含んだ学習会をはじめ,伝達内容のファイリングや,ゾーニングの明確化等の対応を行った.(3)についてはA7名,B9名,C2名,D2名の増加が確認され.また、ストレスの減少者については,A8名,B10名,D2名とストレスの増減の結果が反転した.
【考察】(1)の期間COVID-19感染拡大時のストレスが、未知のウイルスに対する漠然とした不安があり,最も多いと予測していた.しかし,(2)の比較が全期間を通してストレス増加を最も確認できる結果とはならなかった.救命救急センターの看護師のストレスについて宇田ら¹⁾は「人の生死にかかわる極限状況に対応することによって引き起こされるストレスがあり,ストレスフルな状況にある」と述べている.救命救急センターに従事するスタッフは常に患者の生死に緊急で関わることを必要とされており,平時よりストレスフルな状態なため増加が著しいものではなかったと考えられる.(3)の増加については,先の見えない不安が継続していくことに対し,ストレスの増加に繋がった可能性がある.しかし(3)では(2)で行った対策,また物資の流通の安定化やCOVID-19の医学的な明確化により,ストレスが増加しているスタッフと減少しているスタッフの数値逆転に繋がっていることが考えられる.山勢ら²⁾は「感染防護具着脱を含めた患者受け入れシミュレーション訓練の実施や、個々の看護師のストレス耐性の強化とフォローアップ体制設備が必要と考える」と述べている.COVID-19の拡大は現在も継続している.今後もこの調査を継続し,スタッフのストレス推移を把握し個別にフォローアップ体制を強化していくことが必要であると考えられる.