[OD104-02] 突然死での看取り看護に関する救急看護師のレジリエンス
Keywords:レジリエンス、看取り、突然死
【目的】
レジリエンス(心的回復力)とは、ストレス耐性・コーピングに関する個人内・環境要因を活用し、ストレス状況に適応する特性である。救急看護師は、救命に尽力しながらも患者の突然死と直面する機会が多くストレスフルな状況にあるため、経験を積む中でレジリエンスを強化していると考えられる。本研究の目的は、救急看護師の突然死での看取り看護に関するレジリエンスを明らかにすることである。
【方法】
半構成的面接法による質的記述的研究デザイン。救命救急センターで勤務経験のある急性・重症患者看護専門看護師13名及び救急看護認定看護師7名の計20名を対象に、2021年2月~3月に面接を実施した。面接は、Web会議システムまたは対面で1人1回60分程度行い、内容を録音した。調査内容は、救命救急センターで突然死した患者の看取り看護に関する①救急看護師として未熟な時の看護実践と対処方法、②救急看護師として熟練してからの看護実践と対処方法、③レジリエンスを養った過程についてである。面接内容から逐語録を作成し、コード化した。その後、意味内容が類似するコードをまとめカテゴリー化を行い、各カテゴリーを救急看護師としての成長過程に当てはめた概念図を作成した。本研究は、所属大学の研究倫理審査の承認を得て実施した。
【結果】
質問内容毎に抽出されたカテゴリーを〔〕で示す。
①救急看護師として未熟な時の看護実践と対処方法では、〔自己の看護実践と感情の言語化〕〔第三者的な立場での対応〕という2つのカテゴリーが抽出された。未熟な時は、先輩看護師に看護実践を振り返ってもらうことや気持ちを聞いてもらうこと、死への恐怖心から現実と切り離した思考をしていた。②救急看護師として熟練してからの看護実践と対処方法では、〔客観的評価〕〔看護実践の意味づけ〕〔肯定的思考〕〔合理的思考〕〔チームメンバーの連携〕〔共有の場の設定〕〔患者家族への感謝〕という7つのカテゴリーが抽出された。熟練してからは、自己で看護実践を客観的に振り返り意味づけをしながらも、肯定的かつ合理的に考えていた。また、医師や他看護師等とコミュニケーションをとり負担を軽減しながらケアすることや、他スタッフと感情を共有する場を設けること、患者家族へ感謝をしていた。③レジリエンスを養った過程では、〔自己の目標設定〕〔自己研鑽〕〔経験の蓄積〕という3つのカテゴリーが抽出された。看取り看護に対する不全感や目指す先輩像から自己の目標設定を行い、理論などのエビデンスの学習と経験を積むことでレジリエンスを養っていた。
【考察】
救急看護師は、経験を積む中でレジリエンスを強化・獲得していくことが明らかとなった。救急看護師として未熟な時は他者からの援助により対処していたが、熟練してからは自己で対処することが可能となるだけでなく、他者をも巻き込み医療チームで対処を促進していた。
救急看護師のレジリエンスの強化・獲得過程は、未熟な時は主に情動中心型コーピングであったが、熟練した時は問題中心型コーピングへ変化すると考えられる。また、レジリエンスはコーピングだけでなくストレス耐性に関する個人内及び環境要因の役割も大きく、経験を積む中で思考過程や医療チーム等の要因を獲得していると考えられた。
以上を踏まえ、救急看護師の成長過程における突然死での看取り看護に関するレジリエンスを概念図に示す。熟練した救急看護師のレジリエンスにはストレスを対処するための思考過程や医療チームでの対処促進等があり、目標設定と自己研鑽を行いながら経験を積むことで強化・獲得されることが明らかとなった。
レジリエンス(心的回復力)とは、ストレス耐性・コーピングに関する個人内・環境要因を活用し、ストレス状況に適応する特性である。救急看護師は、救命に尽力しながらも患者の突然死と直面する機会が多くストレスフルな状況にあるため、経験を積む中でレジリエンスを強化していると考えられる。本研究の目的は、救急看護師の突然死での看取り看護に関するレジリエンスを明らかにすることである。
【方法】
半構成的面接法による質的記述的研究デザイン。救命救急センターで勤務経験のある急性・重症患者看護専門看護師13名及び救急看護認定看護師7名の計20名を対象に、2021年2月~3月に面接を実施した。面接は、Web会議システムまたは対面で1人1回60分程度行い、内容を録音した。調査内容は、救命救急センターで突然死した患者の看取り看護に関する①救急看護師として未熟な時の看護実践と対処方法、②救急看護師として熟練してからの看護実践と対処方法、③レジリエンスを養った過程についてである。面接内容から逐語録を作成し、コード化した。その後、意味内容が類似するコードをまとめカテゴリー化を行い、各カテゴリーを救急看護師としての成長過程に当てはめた概念図を作成した。本研究は、所属大学の研究倫理審査の承認を得て実施した。
【結果】
質問内容毎に抽出されたカテゴリーを〔〕で示す。
①救急看護師として未熟な時の看護実践と対処方法では、〔自己の看護実践と感情の言語化〕〔第三者的な立場での対応〕という2つのカテゴリーが抽出された。未熟な時は、先輩看護師に看護実践を振り返ってもらうことや気持ちを聞いてもらうこと、死への恐怖心から現実と切り離した思考をしていた。②救急看護師として熟練してからの看護実践と対処方法では、〔客観的評価〕〔看護実践の意味づけ〕〔肯定的思考〕〔合理的思考〕〔チームメンバーの連携〕〔共有の場の設定〕〔患者家族への感謝〕という7つのカテゴリーが抽出された。熟練してからは、自己で看護実践を客観的に振り返り意味づけをしながらも、肯定的かつ合理的に考えていた。また、医師や他看護師等とコミュニケーションをとり負担を軽減しながらケアすることや、他スタッフと感情を共有する場を設けること、患者家族へ感謝をしていた。③レジリエンスを養った過程では、〔自己の目標設定〕〔自己研鑽〕〔経験の蓄積〕という3つのカテゴリーが抽出された。看取り看護に対する不全感や目指す先輩像から自己の目標設定を行い、理論などのエビデンスの学習と経験を積むことでレジリエンスを養っていた。
【考察】
救急看護師は、経験を積む中でレジリエンスを強化・獲得していくことが明らかとなった。救急看護師として未熟な時は他者からの援助により対処していたが、熟練してからは自己で対処することが可能となるだけでなく、他者をも巻き込み医療チームで対処を促進していた。
救急看護師のレジリエンスの強化・獲得過程は、未熟な時は主に情動中心型コーピングであったが、熟練した時は問題中心型コーピングへ変化すると考えられる。また、レジリエンスはコーピングだけでなくストレス耐性に関する個人内及び環境要因の役割も大きく、経験を積む中で思考過程や医療チーム等の要因を獲得していると考えられた。
以上を踏まえ、救急看護師の成長過程における突然死での看取り看護に関するレジリエンスを概念図に示す。熟練した救急看護師のレジリエンスにはストレスを対処するための思考過程や医療チームでの対処促進等があり、目標設定と自己研鑽を行いながら経験を積むことで強化・獲得されることが明らかとなった。