[OD1102-04] 脳卒中急性期におけるせん妄予防への取り組み ~せん妄スクリーニングツールを導入して~
Keywords:せん妄、ICDSC、脳卒中
<目的> NCUでは急性期の脳卒中患者を管理している。脳器質性疾患の既往がせん妄の準備因子として挙げられるが、せん妄症状が疾患と他の環境因子とのどちらに由来するかは鑑別が困難であり、これまでせん妄ケアに難渋していた。せん妄の発症率は70歳以上の入院患者の約30%、術後では50%以上で合併し、せん妄の持続期間の延長は死亡のリスクを高め、入院期間の延長や入院医療費の増加、退院後の認知症発症率が高いといわれており生命予後に影響を与える。特に低活動性せん妄は主観的な評価では見逃がされることも多く、客観的なせん妄スクリーニングツールを用いて評価することが必要であると考える。そのため、全スタッフが同じ指標で評価が出来るようにせん妄の早期発見を目的として、言語や視覚障害のある重症患者でも評価可能でせん妄の重症度を評価できるIntensiveCareDeliriumScreeningChecklist(以下ICDSCとする)を導入した。
<方法>導入にあたりマニュアルを作成し病棟においてせん妄対策チームを発足、全スタッフ対象に評価方法について勉強会を開催した。その後、受持ち看護師によるICDSCの評価を日勤・夜勤帯の1日2回実施した。患者のデバイス・身体抑制・安静度・離床状況も含め、ICDSCスコアを電子カルテ内に入力出来るようにした。
<倫理的配慮>藤田医科大学病院看護部看護研究倫理審査会の承認を得た。
<結果>20XX年4~5月の期間に評価されていた全307件を集計した。そのうち、昏睡・昏迷状態のため評価対象外が3件あった。ICDSC0点が186件と一番多く、次に1点が43件、2点が37件、3点が12件、せん妄とされる4点以上が9件であった。入力漏れや不備があったのは17件であった。ICDSC項目別に見ると注意力欠如にポイントが加算されている患者が多かった。患者の状態としては身体抑制が常時施行されていた患者は80件あり、挿入物は末梢点滴が96件と一番多く、次いで末梢点滴に加え、経鼻胃管、尿道カテーテルの3つが挿入されている患者が51件であった。
<考察>今回せん妄スクリーニングツールとしてICDSCを用いて評価をしたことによって、スタッフが経験年数に関わらず共通の認識で評価出来るようになり、せん妄予防に対する意識向上に繋がったと考えられる。せん妄症状の出現頻度として、注意障害・睡眠覚醒リズム障害が97%を占めていると報告があり、当病棟の結果とも一致していた。せん妄の早期発見には注意障害の存在に気付けるかが重要であると考えられる。今回スクリーニングツールとしてICDSCを用いたことで、一時点でのせん妄の有無だけではなく24時間以内の状態評価を行い経時的な観察が出来た。結果、当病棟ではせん妄予備軍と判定される1~3点の患者が多く、促進因子であるデバイス類の挿入や身体抑制率が高いことも分かった。今後の課題はせん妄に気付くための着眼点を知ることができるようにスタッフへの教育を行い、正しくICDSCを評価できることである。また、脳卒中患者の急性期においては意識レベルの変動を観察するために睡眠剤や鎮静薬の使用を控えることが多いため、非薬理学的ケアとして促進因子をいかに除去できるか対策を検討していく必要がある。スクリーニングツールを使用せず臨床経験に基づく主観的な評価を行った場合、約75%でせん妄は見逃され、特に低活動性せん妄に多いといわれている。スクリーニングツールを用いて正しく評価し、多職種とも連携しながら医療チーム全体でせん妄リスクファクターを低減することで、患者の安全とともに尊厳も守れるよう今後も努めていきたい。
<方法>導入にあたりマニュアルを作成し病棟においてせん妄対策チームを発足、全スタッフ対象に評価方法について勉強会を開催した。その後、受持ち看護師によるICDSCの評価を日勤・夜勤帯の1日2回実施した。患者のデバイス・身体抑制・安静度・離床状況も含め、ICDSCスコアを電子カルテ内に入力出来るようにした。
<倫理的配慮>藤田医科大学病院看護部看護研究倫理審査会の承認を得た。
<結果>20XX年4~5月の期間に評価されていた全307件を集計した。そのうち、昏睡・昏迷状態のため評価対象外が3件あった。ICDSC0点が186件と一番多く、次に1点が43件、2点が37件、3点が12件、せん妄とされる4点以上が9件であった。入力漏れや不備があったのは17件であった。ICDSC項目別に見ると注意力欠如にポイントが加算されている患者が多かった。患者の状態としては身体抑制が常時施行されていた患者は80件あり、挿入物は末梢点滴が96件と一番多く、次いで末梢点滴に加え、経鼻胃管、尿道カテーテルの3つが挿入されている患者が51件であった。
<考察>今回せん妄スクリーニングツールとしてICDSCを用いて評価をしたことによって、スタッフが経験年数に関わらず共通の認識で評価出来るようになり、せん妄予防に対する意識向上に繋がったと考えられる。せん妄症状の出現頻度として、注意障害・睡眠覚醒リズム障害が97%を占めていると報告があり、当病棟の結果とも一致していた。せん妄の早期発見には注意障害の存在に気付けるかが重要であると考えられる。今回スクリーニングツールとしてICDSCを用いたことで、一時点でのせん妄の有無だけではなく24時間以内の状態評価を行い経時的な観察が出来た。結果、当病棟ではせん妄予備軍と判定される1~3点の患者が多く、促進因子であるデバイス類の挿入や身体抑制率が高いことも分かった。今後の課題はせん妄に気付くための着眼点を知ることができるようにスタッフへの教育を行い、正しくICDSCを評価できることである。また、脳卒中患者の急性期においては意識レベルの変動を観察するために睡眠剤や鎮静薬の使用を控えることが多いため、非薬理学的ケアとして促進因子をいかに除去できるか対策を検討していく必要がある。スクリーニングツールを使用せず臨床経験に基づく主観的な評価を行った場合、約75%でせん妄は見逃され、特に低活動性せん妄に多いといわれている。スクリーニングツールを用いて正しく評価し、多職種とも連携しながら医療チーム全体でせん妄リスクファクターを低減することで、患者の安全とともに尊厳も守れるよう今後も努めていきたい。