第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 11.その他③

[OD1103] 11.その他③

[OD1103-02] 痰詰まりリスク評価表導入への取り組みと今後の課題

○大浦 敦美1 (1. 医療法人徳洲会 野崎徳洲会病院)

Keywords:痰詰まり、呼吸ケア、人工呼吸器

Ⅰ.はじめに
 A病院では平成29年度より呼吸ケアサポートチームを立ち上げ、人工呼吸器からの早期離脱と呼吸ケアの質の向上を目標に院内ラウンドを実施してきた。しかし、今回痰詰まりによる呼吸状態の悪化や急変に結びついたと思われる事例を経験した。月1件のペースで数か月間続いており、早急な対策が必要であると考えた。原因として、呼吸状態のアセスメント不足から吸引などの呼吸ケアが不十分となり痰詰まりとなっていたこと、吸引が必要な患者の把握が病棟全体で行えていなかったことが考えられた。看護師のボトムアップが早急に必要であったが、幅広い経験年数の看護師をボトムアップするには短期間での計画は難しく、時間を要することが考えられた。そのため、呼吸状態が悪化する可能性がある患者を可視化するための評価表を作成することとなった。人工呼吸器装着率の高い2病棟で1か月間の試験運用を行い、その後各病棟へ導入となったためここに報告する。
Ⅱ.目的
 痰詰まりリスク評価表の高リスク群と評価された患者が、本当に高リスク群に値するのかを調査し今後の課題を明らかにすること
Ⅲ.方法
対象者:人工呼吸器装着率の高い2病棟に入院した患者204名
期間:2020年10月1日~10月31日の1か月間
評価方法:主項目と副項目に分けて評価し、主項目は痰量、痰の粘性、自己喀痰可能かどうかを0~2点で評価する。主項目で4点以上あれば高リスク群とし4点以下の場合は副項目の評価へ移る。副項目は年齢、意識レベル、ADL、人工呼吸器装着、抜管後、気管切開、BiPAP・NHFを0点か1点で評価する。主項目と副項目を合わせて8点以上であれば高リスク群とした。1か月間の試験運用後、高リスク群と評価された患者が本当に高リスク群に値するのかについて後方視的調査を行った。
Ⅳ.倫理的配慮
A病院倫理委員会の審査後許可を得て実施し、得られた情報は個人が特定されないように配慮した。
Ⅴ.結果/考察
 試験運用期間の評価対象者は204名であった。そのうち、A病棟は77名中7.7%(約6名)が高リスク群で、B病棟は127名中5.3%(約7名)が高リスク群であった。1か月でみると6~7名であったが、1日でみると各病棟に平均2~3名の割合で高リスク群の患者がいるという結果となった。高リスク群と評価された患者は、身体所見や採血・画像などのデータから考えても痰詰まりのリスクが高い患者であった。試験運用期間に高リスク群と評価された患者は13名であるため、痰詰まりリスク評価表の内容が妥当かどうかは、今後もデータを取っていく必要があるが、今回の試験運用期間で得た症例に関しては高リスク群と評価したことに間違いはなかったと考える。
 今後の課題として、試験運用で高リスク群と評価された件数が少数であったため、本当に高リスク群に値する患者が抽出できているかは引き続き調査していく必要がある。もう一つの課題としては、高リスク群と評価された患者を病棟内で共有出来ていない部署があった。今回、痰詰まりリスク評価表を導入したのは、呼吸状態の評価の一つとして年数が違う看護師が同じように評価でき、呼吸状態が悪化するリスクのある患者を抽出し、病棟全体で情報共有ができることを目指して導入となっている。そのため、痰詰まりリスクの高リスク群に入っている患者を、視覚的に捉えることができるような表示方法などを検討していく必要がある。
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