[OD201-04] 惨事ストレスに対するストレスマネジメントの検討 -ドクターカーナースに対するマインドフルネスの導入-
Keywords:ドクターカーナース、セルフメンタルヘルス、マインドフルネス、惨事ストレス
<背景>プレホスピタルケア現場では、様々な環境要因が誘引し、活動に従事するか困惑する者や不快な思いをする者が少なくない。ドクターカーに従事する看護師が抱くストレスやPTSD症状を呈する惨事ストレスに関連する研究は多い。しかし、その文献の多くは、“支援者に対する支援は必要である”としながらも、未だに実践可能といえるメンタルヘルスケアの明確な指標となるような研究や資料はない。
<目的>本研究では、ドクターカーナース(以下、DCN)への惨事ストレスマネジメントとして、マインドフルネスを導入し、その有効性について検討した。
<方法>1.対象: A病院に所属している、DCN11名、今後DCN教育プログラムを開始しドクターカーに同乗予定の看護師(以下、Pre-DCN)2名。 2.調査期間: 2020年9月~11月。 3.具体的な方法や手順:1)ビデオ会議システム(ZOOM)を用いて、メンタルヘルス研修を全員に1回実施(初回60分)。2)DCN、Pre-DCN向けに、メンタルヘルス研修を全3回(2部/回、同様の内容を9月から1か月毎に、計6回。90分/回)実施。3)対象者は、9月から3か月間、可能な限り毎日マインドフルネスを実施。 4.データの分析方法:初回メンタルヘルス研修実施前と、3部目の研修終了時に質問紙を使用し心理測定尺度を用いて評価を実施。心理尺度は以下の3つを使用した。①BDI-Ⅱ 抑うつ心理尺度、②POMS2 日本語版、③6因子マインドフルネス尺度(FMS)を使用した。統計処理は、SPSSで実施し、対応のあるt検定を用いて分析した。
<倫理的配慮>研究対象者には、あらかじめ研究の趣旨について文章で説明し、個人情報保護に配慮した。また、参加は自由意志であり拒否における不利益はないことを説明した。A病院倫理委員会で承認した後に実施した。
<結果> POMS2日本語版では下位尺度のAH「怒り-敵意」(t=-2.37(10),p=0.04)、CB「混乱-当感」(t=-2.63(10),p=0.02)において有意差が認められた。また、FI「疲労-無気力」(t=-1.93(10),p=0.08)、TA「緊張-不安」(t=-2.02(10),p=0.07)、VA「活気-活力」(t=-2.05(10),p=0.07)、TMD「総合的気分状態」(t=-1.91(10),p=0.09)については、有意水準が5%においては有意な差が見られなかったが、10%水準において有意傾向が認められた。6因子マインドフルネス尺度、BDI-2の平均値については、研修前後で有意な変化は認められなかった。
<考察>本研究の結果から、マインドフルネス研修を行い、日常的にマインドフルネスを実践することで気分の変化がある可能性が示唆された。特に「怒りー敵意」、「緊張-不安」といった、ドクターカーが必要とされる現場において必要だと考えられる要因に対して変化があったことは、今後の実践継続による効果を期待させるものであると考えられる。しかしながら本研究においては、被検者数が少ないこと、実践期間が短いなどの問題がある。被検者数をさらに増やすこと、実践期間をさらに長期にする、研修内容、測定内容をさらに精査するなどが今後の課題であると考えられる。
<結語>DCNに対するマインドフルネスの導入は一定の効果があったといえる。今後、マインドフルネスを用いたセルフストレスマネジメントが定着できるよう、長期的な感情の変化などの調査を継続し、導入方法や継続方法についても検討が必要である。
<目的>本研究では、ドクターカーナース(以下、DCN)への惨事ストレスマネジメントとして、マインドフルネスを導入し、その有効性について検討した。
<方法>1.対象: A病院に所属している、DCN11名、今後DCN教育プログラムを開始しドクターカーに同乗予定の看護師(以下、Pre-DCN)2名。 2.調査期間: 2020年9月~11月。 3.具体的な方法や手順:1)ビデオ会議システム(ZOOM)を用いて、メンタルヘルス研修を全員に1回実施(初回60分)。2)DCN、Pre-DCN向けに、メンタルヘルス研修を全3回(2部/回、同様の内容を9月から1か月毎に、計6回。90分/回)実施。3)対象者は、9月から3か月間、可能な限り毎日マインドフルネスを実施。 4.データの分析方法:初回メンタルヘルス研修実施前と、3部目の研修終了時に質問紙を使用し心理測定尺度を用いて評価を実施。心理尺度は以下の3つを使用した。①BDI-Ⅱ 抑うつ心理尺度、②POMS2 日本語版、③6因子マインドフルネス尺度(FMS)を使用した。統計処理は、SPSSで実施し、対応のあるt検定を用いて分析した。
<倫理的配慮>研究対象者には、あらかじめ研究の趣旨について文章で説明し、個人情報保護に配慮した。また、参加は自由意志であり拒否における不利益はないことを説明した。A病院倫理委員会で承認した後に実施した。
<結果> POMS2日本語版では下位尺度のAH「怒り-敵意」(t=-2.37(10),p=0.04)、CB「混乱-当感」(t=-2.63(10),p=0.02)において有意差が認められた。また、FI「疲労-無気力」(t=-1.93(10),p=0.08)、TA「緊張-不安」(t=-2.02(10),p=0.07)、VA「活気-活力」(t=-2.05(10),p=0.07)、TMD「総合的気分状態」(t=-1.91(10),p=0.09)については、有意水準が5%においては有意な差が見られなかったが、10%水準において有意傾向が認められた。6因子マインドフルネス尺度、BDI-2の平均値については、研修前後で有意な変化は認められなかった。
<考察>本研究の結果から、マインドフルネス研修を行い、日常的にマインドフルネスを実践することで気分の変化がある可能性が示唆された。特に「怒りー敵意」、「緊張-不安」といった、ドクターカーが必要とされる現場において必要だと考えられる要因に対して変化があったことは、今後の実践継続による効果を期待させるものであると考えられる。しかしながら本研究においては、被検者数が少ないこと、実践期間が短いなどの問題がある。被検者数をさらに増やすこと、実践期間をさらに長期にする、研修内容、測定内容をさらに精査するなどが今後の課題であると考えられる。
<結語>DCNに対するマインドフルネスの導入は一定の効果があったといえる。今後、マインドフルネスを用いたセルフストレスマネジメントが定着できるよう、長期的な感情の変化などの調査を継続し、導入方法や継続方法についても検討が必要である。