第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 3.トリアージ③

[OD303] 3.トリアージ③

[OD303-03] A病院の救命救急センターにおける院内トリアージ歴3年未満の看護師がトリアージを判断する困難について

○原田 伸吾1、小山 順子2 (1. 豊川市民病院救命救急センター、2. 豊橋創造大学保健医療学部看護学科)

Keywords:院内トリアージ、3年未満の看護師、困難

〈目的〉
 地方の中規模病院であるA病院は2012年より院内トリアージを導入している。トリアージナースの対象は看護師歴3年以上とし、救急看護認定看護師によるトリアージに関する学習会への参加は任意としている。また、夜間帯においては救命救急センターに所属していない診療科の看護師も、看護師歴3年以上であればトリアージを実施している。先行研究ではトリアージナース歴3年未満の看護師はストレスを強く感じ、ストレッサーとして「トリアージの困難さ」を明らかにしている。そこで、A病院におけるトリアージ歴3年未満の看護師がトリアージを判断する困難について明らかにし、今後の課題の一助としたい。
〈方法〉
1.研究期間:2020年11月~2021年3月
2.研究デザイン:質的帰納的研究
3.対象:A病院の院内トリアージ歴3年未満の看護師 
4.調査方法:半構造化面接法
5.分析方法:インタビュー内容の遂語録を作成し、トリアージの判断の「困難さ」を示す文脈ごとにコード化した。コード間の類似性を検討しサブカテゴリ―を抽出した。さらに、抽象化したものをカテゴリーとした。コード化、カテゴリー化にあたっては、研究者間で合意が得られるまで検討を重ねた。
〈倫理的配慮〉
本研究を実施する前にA病院看護局倫理委員会の承諾を得た。
〈結果〉
6名の看護師の協力が得られた。看護師の平均年齢は24.1歳、トリアージナース歴11.8か月であった。インタビューの結果、144のコードから12のサブカテゴリ―が抽出され、3つのカテゴリー「判断力を高める教育・経験不足」「失敗経験や責任への重圧感から生じる情緒」「救急外来特有の環境」が生成された(表1)。
〈考察〉
1.【判断力を高めるための教育・経験不足】
トリアージの方法が理解できていないことや、バイタルサインなど数値の指標と患者の訴えの項目がガイドラインに当てはまらないことなどから、ガイドラインを活用して評価している人が少ないことがわかった。トリアージナースの条件として看護師歴のみとしているため、トリアージに関する研修会参加を必須としていないことも理解不足の要因と考える。また、トリアージは瞬時に患者を多面的に捉え判断するため、疾患の学習会だけでなく症例検討会などの実践的な教育や、教育体制の見直しが必要であることが示唆された。
2.【失敗経験や責任への重圧感から生じる情緒】
自分の判断よりも重症であったことや、急変している場面に遭遇した経験からアンダートリアージの判断に対しての精神的負担があること、また自分の判断で患者の処置が遅れることや、状態が悪化した患者への再トリアージが怖いという感情が語られた。オーバートリアージをすると他の患者の待ち時間が増えることや、他スタッフの反応などの圧迫感があることもわかり、アンダートリアージの判断になると推察される。アンダートリアージを失敗として捉えずその内容を明らかにすることで、判断の困難さの要因を具現化することができ、教育に反映できると考える。
3.【救急外来特有の環境】
待合室にトリアージを実施した人と未実施の人が混在することや、患者が多いとトリアージの時間が十分に取れないこと、病棟のように触診や可動域の評価などができないことが語られ、待合室の配置やトリアージ室の検討が必要であることがわかった。トリアージの知識を十分に活かすための環境が整っていないことも困難さの要因ではないかと考える。トリアージ業務の支援体制や他部門の協働体制を整え、システムの整備をしていくことも必要である。
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