第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

ポスター

06-2:事業所運営・経営

一般演題(ポスター)事業所運営・経営

2024年7月20日(土) 14:45 〜 15:25 ポスター会場1 (コンベンションホールA)

座長:遠矢 純一郎(桜新町アーバンクリニック)

15:15 〜 15:20

[P-1-102] 在宅医療の普及と持続可能な提供のために

当院の開業支援の変遷と
事業継続性のための広域大規模医療法人との提携

*岩野 歩1 (1. 医療法人)やまとコールメディカル福岡 コールメディカルクリニック福岡)

【はじめに】在宅医療はこれまで高い志を持った諸先輩方の尽力により普及発展してきた。その担い手は主に個人の診療所であったが徐々に大規模医療法人、病院へと拡がってきた。現在も自分の理想とする医療の実現のために在宅診療所が多数開業しているが、事業継続性という点で個人の運営だと限界があるのも事実である。これからの在宅医療を担う組織の在り方について当院の活動の変遷を踏まえて考察する。
【活動】当院は人口20万人前後の診療圏で主に在宅診療を行う個人立の診療所であった。在宅受け持ち患者は350人弱 年間在宅看取り数は150人前後である。現在の常勤医は5人であるが、これまで開業支援を積極的に行いこの12年間で7人が常勤医を経て在宅診療所を開業している。いずれの診療所も滑り出しは順調であるが、二人目の常勤医確保が困難なまま数年経過し、併せて人員拡大による人事労務トラブルにより一人院長が疲弊していく現状があった。当院自体は複数の医師を擁し、負担の少ない24時間365日体制を実現出来てはいるが地域全体への貢献に至ってはおらず、将来に渡ってこの体制を維持できるかも不透明である。事業継続性を真摯に考えた結果、広域大規模医療法人と提携した。
【考察】在宅医療普及のために、また自分の理想とする医療の実現を目指す後進のために、サテライト展開でなく個人開業支援をしてきた。しかしほとんどが事業継続性については不透明なままの運営である。そもそも医療はインフラであり、一個人一事業所の能力・体力によりその提供が左右されてはいけない。当院は県下では有数の規模の在宅診療所であると自負しているが、そのような我々が率先して広域大規模医療法人と提携することにより、事業継続性のみならず更なる規模拡大を目指し、在宅医療を持続可能な形で提供し続ける事を使命とする組織の在り方を提起する。