第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

ポスター

15-1:緩和ケア

一般演題(ポスター)緩和ケア2

2024年7月21日(日) 14:25 〜 14:55 ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:岡山 容子(医療法人みのり会 おかやま在宅クリニック)

14:40 〜 14:45

[P-2-127] 脊髄くも膜下鎮痛法を導入され自宅退院可能となった2例

*篠 美和1、廣瀨 剛2、保刈 岳雄2、河野 悟2、廣瀨 憲一2 (1. 医療法人社団守成会 広瀬病院 在宅診療部、2. 医療法人社団守成会 広瀬病院 内科)

【はじめに】癌性疼痛の症状緩和には、薬物療法、特にオピオイド鎮痛薬の全身投与が選択される。90%の癌性疼痛は緩和されるが、残り10%の癌性疼痛患者は通常の治療では痛みが軽減できない言われている。オピオイドの全身投与では十分な鎮痛が得られない癌性疼痛患者に対して、脊髄くも膜下鎮痛法が推奨される。
【症例1】55歳男性、膵頭部癌多発肝転移も診断で化学療法中、上腹部痛が出現し、薬物療法を行なっていたが、嘔気および不安感、希死念慮で増量が困難、コントロールに難渋した。持続硬膜外ブロックを行うと疼痛はほぼ消失したため、脊髄くも膜下ポートを挿入して自宅退院可能となった。経口摂取などを楽しむことができ、前医での再入院が可能となる連携体制も整えていたものの、病院へ戻ることなく退院22日後自宅で永眠された。
【症例2】49歳女性、乳癌皮膚浸潤多発リンパ節転移で化学療法中、左胸壁・上肢及び臀部褥瘡の疼痛が強く、オピオイドの全身投与を行っていたが、効果不十分で持続くも膜下鎮痛法を頸部、腰部2箇所から導入し、臀部褥瘡の痛みは改善、自宅へ退院された。残念ながら全ての苦痛が緩和することはなく持続鎮静を余儀なくされたが、入院中に会えなかった友人らにも会え、退院8日後自宅で永眠された。
【考察】くも膜下鎮痛法を導入し、自宅退院可能となった2例を経験した。自宅療養移行には家族だけではなく、訪問看護師、訪問薬剤師の協力が不可欠であるが、2例とも十分な連携をとることができ、在宅療養が可能であった。
【倫理的配慮】本症例報告は広瀬病院倫理委員会で承認を得て行った(承認番号2024-3)。