実行委員長挨拶
一般社団法人日本LD学会 第5回研究集会(熊本)
実行委員長 河田 将一(九州ルーテル学院大学)
日本LD学会第5回研究集会を、2022(令和4)年2月27日(日)に、熊本にて開催させていただくことになりました。
計画当初は、熊本城ホールでの全面対面実施の方向で準備を進めておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、参加者・関係者の皆様の健康面・安全面を最優先すべきであると判断し、本研究集会は、原則Web(インターネット上でのライブ配信)による開催とし、熊本県・九州各県在住の方につきましては、当日現地での聴講を可能とする「ハイブリッド形式」での開催とさせていただきます(感染拡大の状況により、現地聴講の制限・取り止めを行うことがあります)。
今回の研究集会は、『災害と発達障害―災害時の支援を問い返す―』をテーマに、基調講演とシンポジウムを企画しております。
今年度も全国各地で災害が発生しており、熊本県は、2016(平成28)年の熊本地震を例として、昨年7月の県南地域の豪雨災害(令和2年7月豪雨災害)など、近年は大規模災害に見舞われております。
中央教育審議会が2012(平成24)年7月にまとめた「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」においては、学校における合理的配慮の観点として、「災害時の支援体制の整備」「災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮」「心理面・健康面の配慮」が挙げられており、現在も様々な取り組みが推進されているところです。
一方で、熊本地震の事例では、発達障害のある子どもたちが、避難生活が長期にわたったことでの心理・健康面の問題を抱え、現在も不安を抱えているとの報告が挙がっております。また、学校が中心的な避難所となった自治体が多く、学校再開までの間の教育が停滞するなど、学びの保障が大きな課題の一つとなりました。
災害の経験から得られた教訓は風化しやすく、防災や未然の備えの取り組みへの熱量も、年月を経て鈍化するとの声を聞くことがあります。
今回、熊本地震からの復興の象徴の一つである熊本城天守閣が4月に復旧した、九州熊本の地で研究集会を開催するにあたって、発達障害のある子どもたちへの災害時の支援を問い返すことで、今後の防災教育の在り方や、災害時の対応と学びの保障の一層の充実に繋がるものとなることを願っております。
加えて、本研究集会も、従前の研究集会と同様に「ポスター発表」を企画しており、昨年度の第4回研究集会と同様に、一定期間ウェブシステム上で閲覧ができるよう計画しておりますので、オンライン環境を生かしての議論が深まることを期待しております。
第5回研究集会が、皆様にとって学びの多い研究集会となりますよう、実行委員一同、開催に向けて取り組む所存です。皆様のご参加を心からお待ちしております。