一般社団法人 日本LD学会 第26回大会(栃木)

大会会長挨拶


 

餃子とカクテルとジャズの街、ようこそ宇都宮へ!

 
第26回大会会長 梅永 雄二(早稲田大学)


 LD、ADHD、ASD児たちも学校を卒業し、社会に出て行くと就労や結婚、子育てなど様々な大人になってからの生活を送ることになります。とりわけ就労においては、厚生労働省が2006年に首都圏においてニートの就職や自立支援を行っている施設4か所の調査を行った結果、155人のうち36人(23.2%)に発達障害、またはその疑いがあるとの報告がなされているように大きな課題のひとつとなっています。
 就労形態が多様化している現代では、アルバイト・パート、派遣、契約社員、嘱託などで働く非正規雇用の状態の中にも発達障害が多いといわれています。このような就労形態は、年間の収入が生活保護よりも低いワーキングプアという状況となる可能性もあります。
 このような、大人になってから発達障害の人たちに生じる問題を、学校教育早期から検討し、大人になった後の生活を意識した現実社会に合った教育支援が望まれます。
 本大会では、ASDを中心とする発達障害児者のトータルサポートで世界最先端といわれているノースカロライナ大学医学部TEACCH Autism Programのディレクターであるローラ・クリンガー博士をお招きし、成人期以降の課題と具体的支援について、早期から行っておくべき教育についてお話いただきます。また、栃木県ゆかりの柳田邦男先生にも特別講演をお願いしています。さらに、東京ご出身ですが、36歳のときに栃木県益子町に移られ、現在も畑を耕しながら創作活動を続けられているいわむらかずお先生にかわいい挿絵をお願いしました。
 宇都宮は餃子で有名ですが、それだけではなくカクテルやジャズの街でもあります。また、近くには雄大な男体山や美しい中禅寺湖を中心とした世界遺産の日光もあり、大会参加のついでに鬼怒川温泉や那須塩原温泉で日ごろの疲れを癒されるのもいいのではないでしょうか。
 発達障害の人たちは大人になってから幸せにならなければなりません。そのような大人になれるような教育をともに考えていける、そのような大会になることを期待しています。
 今回は大会会長である梅永が2015年に宇都宮大学から早稲田大学へ移ったため、宇都宮大学・早稲田大学の共催で開催しますが、大会副会長の原田先生を中心とするS.E.N.Sの会栃木支部会の先生方のご協力により開催可能となりましたことを心から感謝いたします。
 S.E.N.Sの会栃木支部会スタッフともども、皆様のお越しを心よりお待ちしています。