一般社団法人日本LD学会 第28回大会(東京)

会長挨拶

LDのある子に「読み書き」から始まる夢を届けよう

~Reading and writing create fantastic dreams!~

 

第28回大会(東京)大会会長

小貫 悟(明星大学)
 

 1999年に文部省(現:文部科学省)の「学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査協力者会議」において教育概念としてのLDが公式に定義されてから、本大会が開かれる年でちょうど20年の節目を迎えることになります。人に例えれば、ちょうど二十歳の成人期を迎えたわけです。人の成長と同様に、LDの定義についても、右も左もわからない時期、現実と理想のギャップに苦しむ時期、自立を意識する時期などを経て、いよいよ、社会的に一定の役割と責任を果たさなければならない時期を迎えようとしているというような連想が沸きます。

 「発達障害」に関する教育的課題、社会的関心についてのこれまでの歴史を振り返ってみると、まず、行動面に課題が目立つADHDに注目が集まり、その後、社会性に課題が生じる高機能自閉症・アスペルガー障害、自閉スペクトラム症へとその関心が移っていく経緯を経て、昨今の教育・支援現場の空気として、LDに対する教科学習、基礎学力への補償への関心の高まりを強く感じるのは私だけでないのではないでしょうか。おそらく、近未来にLDへの支援、教育実践に質的な大きな変化が起きるように思えてならないのです。

 こうした節目のタイミングでの本大会では、絶えることなく議論が続けられながらも、論点が分散したり、曖昧になりがちだった「LDの定義とは?」というテーマに焦点化し、学際的な日本LD学会らしい議論の場を設定したいと思っています。特に「定義」は「診断・判断」と表裏の関係を持っていますし、「診断・判断」は「介入・指導・対応」と直線的な関係を持っています。「定義」を取り上げることはLDのすべてを取り上げて議論することであると言ってもよいでしょう。

 このような大会テーマやLDをはじめとする発達障害のある方々の支援全般に関心をお持ちの多くの参加者と充実した時間を持てることを期待しています。

 
■ 宿泊手配について
大会期間中の11月10日(日)は「横浜マラソン2019」が開催予定となっております。そのため、11月9日(土)は宿泊が取りづらくなることが想定されるため、早期に宿泊をご手配される事をおすすめいたします。