一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

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R1: 鉱物記載・分析評価

2019年9月22日(日) 09:30 〜 15:00 A-プレゼンスペース (イースト1号館)

09:30 〜 15:00

[R1P-06] 熊本県に分布する黒瀬川帯の超苦鉄質岩体における白金族元素含有鉱物および元素鉱物について

*田中 崇裕1、浜根 大輔2、新町 正 (1. 無所属、2. 東京大・物性研)

キーワード:白金族元素含有鉱物、元素鉱物、白金亜族白金族元素、イリジウム亜族白金族元素、黒瀬川帯

日本における白金族元素含有鉱物(PGM)についての研究は,北海道にほぼ限られている.熊本県に分布する黒瀬川帯の超苦鉄質岩体を横切る河川において,重砂試料を採集し,検討を行ったところ,多数のPGMおよび元素鉱物が見出されたことから,それらを報告するとともに,それらの起源についても考察する.熊本県に分布する黒瀬川帯の超苦鉄質岩は,概ねダン橄欖岩起源の蛇紋岩からなるが,部分的に単斜輝石岩のレンズ状岩体を含むことが知られている.単斜輝石岩体由来のPGMはPPGEを主体とする. IPGEは主に硫化物として少量のみ認められた.一方でダン橄欖岩起源の蛇紋岩由来のものは,IPGEの元素鉱物に限られていた.一般的にPPGEはマグマ中では不適合であるため,S, As, Sb, Te, Bi等と共に分化したマグマ中に濃集していく.一方,IPGEは集積岩と共にマグマから取り除かれていく.従って,本調査の結果から,黒瀬川帯の単斜輝石岩は,上部マントルの部分溶融に始まり,マグマの分化の末に生じた残留メルトから生成したことが伺え,今回見出された多様なPGMもそのような特異なプロセスを経て生じたものと考えられる.