R1: 鉱物記載・分析評価

[R1P-19] 九州大学の鉱物標本

*上原 誠一郎¹、白勢 洋平²、伊藤 泰弘³ (1. 九大・理・地惑、2. 京大・博物館、3. 九大・博物館)

キーワード：九州大学、鉱物標本、高標本、岡本標本、吉村標本

九州大学の鉱物学は工学部採鉱学科で始まり、その後、農学部、理学部、旧教養部で教育研究の一分野として行われ，鉱物標本が充実していった。『高標本』は日本産の大型鉱物標本を主体とし、その数は160種、約1200点になる。20世紀初頭の日本の三大鉱物標本の一つにあげられる。工学部採鉱学教室の教授であった高壮吉(1869-1946)が蒐集した標本で、昭和14年理学部に地質学教室が創設された際に譲渡され、当時は本部事務局2階に展示されていた。その後6回の移転があり、平成30年9月に旧工学部本館2階に移転し、収蔵展示されている。『岡本標本』は工学部講師の岡本要八郎(1876-1960)によって福岡県と長崎県の鉱物調査のために蒐集されたもので、その成果は、『福岡縣鑛物誌』(1944)と『長崎県鉱物誌』(1958)として出版された。点数は約1200点。『吉村標本』は昭和17年から昭和44年まで理学部地質学教室鉱物学講座を担当した吉村豊文(1905-1990)の標本で，『日本のマンガン鉱床』3部作(総頁数は1571頁)を著した。そこに記載された鉱石鉱物からなるマンガン鉱物標本で，点数は約3200点。