R3: 高圧科学・地球深部

[R3P-05] マルチメガバールの新含水高圧相ε-AlOOH

*西 真之¹、桑山 靖弘²、土屋 旬¹ (1. 愛媛大・GRC、2. 東京大・理)

キーワード：含水鉱物

含水鉱物は地球内部における重要な水の貯蔵形態の一であり、含水鉱物が安定に存在できる温度圧力条件(安定領域)を知ることは、地球内部の水の循環機構を知るための手掛かりとなる。近年下部マントルの温度圧力条件下で熱力学的に安定な含水鉱物が複数見つかっており、最下部マントルへの水の輸送や中心核物質との化学反応が議論さている。本研究では、地球最下部マントルより高い圧力下における含水鉱物の安定性を高温高圧実験により調べた。高温発生と試料の構造の決定はSPring-8のBL10XUのファイバーレーザーと放射光Ｘ線回折測定により行った。192 GPa, 2500 Kでは、新たなX線回折ピークの出現が確認された。このピークは最近理論予測されたAlOOHの新構造(Pbca, Verma et al., 2018)により説明可能である。(Fe,Al)OOH組成の出発物質を使用した場合、パイライト型構造が出現した。このような広い含水鉱物の安定領域は、地球だけでなく太陽系外のスーパーアースや巨大氷惑星の内部構造や水の存在形態に影響する可能性がある。