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[R1-09] 北部フォッサマグナ地域から産出した千葉石の続報
キーワード:千葉石、シリカクラスレート、仮晶、フォッサマグナ
2013年の鉱物科学会年会において、世界で2番目となる千葉石の産地として「北部フォッサマグナ地域から産出した千葉石」の報告を行なった。その際、私有地内に位置する露頭の荒廃を懸念して詳細位置は伏せていたが、2021年4月、千葉石を産出した「沖岩体」、および「シリカクラスレート鉱物とその仮晶」の2件が長野県小谷村の天然記念物に指定されたことから、改めて続報として報告する。千葉石の産出が確認されたのは長野県小谷村沖で、母岩は後期中新世の前沢層に貫入した鮮新世の安山岩の小岩体である。この安山岩体は、破砕構造が顕著であり、一部は角礫状を呈す。安山岩の裂罅および角礫の間を埋めて方解石・石英脈が発達し、部分的には炭酸塩岩質の砂岩が取り込まれている。こうした特徴から、この火成岩体は、未固結の海底堆積物に貫入したハイアロクラスタイトと考えられる。ガスクロマトグラフ同位体質量分析計による分析の結果、千葉石中のガス分子のモル比は、メタン55%、CO2 38%, その他i-ブタン、プロパン、エタン、n-ブタンの順であった。メタンのδ13Cは–42.2‰であった。