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[R1P-07] 京都府和束町石寺産フーウェル石
キーワード:フーウェル石、ウェッデル石、シュウ酸塩鉱物、熱水変質作用、石寺
京都府和束町石寺の変成岩中の石英脈から,フーウェル石(whewellite)[Ca(C2O4) · H2O]を本邦から初めて見出したので,その産状及び鉱物学的性質を報告する。フーウェル石は石英中のフッ素燐灰石変質部に形成されており,ウェッデル石,クランダル石-フローレンス石を伴う。肉眼的には白濁した塊状~膜状集合である。形態観察の結果,幅5 μm程の板状結晶からなる約20 μmの球状集合からなっていた。平均化学組成は(Ca0.97Fe0.01Al0.01) (C2O4)0.99(PO4)0.01·0.94H2Oであった。フーウェル石及びウェッデル石は鉄,リンを微量ながら含み,ウェッデル石では鉄,リンの含有量による組成ゾーニングが確認できた。格子定数はa = 6.288(7), b = 14.57(1), c = 10.097(8) Å, β = 109.37(9)°, V = 873(1) Å3であった。形成過程としては,はじめにフッ素燐灰石の割れ目に沿って二次リン酸塩鉱物が形成され,その後,フッ素燐灰石の溶解に伴って,フーウェル石,ウェッデル石が溶解部に形成されている。