一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R3:高圧科学・地球深部

2021年9月16日(木) 09:30 〜 12:15 Zoom Session 1

座長:川添 貴章(広島大学)、境 毅(愛媛大学)

09:30 〜 09:45

[R3-01] ウォズリアイトの熔融温度に及ぼす高酸素分圧の影響

「発表賞エントリー」

*山口 和貴1、川添 貴章1、井上 徹1 (1. 広島大・院先進理工系科学)

キーワード:ウォズリアイト、高酸素分圧、3価の鉄イオン、熔融温度

マントル遷移層には海洋プレートの沈み込みにより水や3価の鉄イオンが供給されている。3価の鉄イオンはMgO-FeO-Fe2O3-SiO2系において下部マントルの融点を下げることが分かっている (Sinmyo et al., 2019)。しかし、マントル遷移層上部のウォズリアイトの熔融温度に及ぼす高酸素分圧の影響はこれまでに研究されていない。そこで本研究では、マントル遷移層上部のウォズリアイトの熔融温度に及ぼす高酸素分圧の影響を明らかにするための実験を行った。実験は、Re-ReO2バッファーとMo-MoO2バッファーを用いて酸素分圧を制御して行った。その結果、1500℃でRe-ReO2バッファーを用いた高酸素分圧の条件で急冷結晶が観察された。一方、Mo-MoO2を用いた低酸素分圧の条件では急冷結晶は観察されなかった。(Mg0.9,Fe0.1)2SiO4組成のウォズリアイトは低酸素分圧下において2300℃で熔融する(Ohtani et al., 1998)。よって本実験の結果に基づくとウォズリアイトの熔融温度は高酸素分圧の影響により約800℃下がると言える。