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[R3-02] オリビン-リングウッダイト相転移が誘起する軟化現象
「発表賞エントリー」
キーワード:スラブ軟化、深発地震、相転移、放射光その場観察、アコースティックエミッション
本研究では、マントル遷移層領域でオリビンの非平衡相転移に誘起されて起こるとされる岩石の軟化やせん断不安定化現象を直接,実験的に検討する。放射光施設PF-AR NE7に設置のD111型高圧変形装置を用いて,~10-20GPa,500-1100℃,歪み速度0.4-7.5x10-5s-1の条件で,サンカルロスオリビン(Ol)多結晶の一軸圧縮応力場における変形-相転移挙動のX線その場観察実験を行なった。また,試料急冷法によるAE測定実験も同条件で行なった。結果、リングウッダイト(Rw)およびワズレアイト(Wds)への相転移が起こり、相転移は過剰圧が大きいほどより低温で進行した。20GPaでの昇温変形実験では、新相Rwの応力はオリビンの20%以下と非常に小さく,昇温に依らず変化しなかった。一方で母相Olの応力はパイエルス機構で説明可能だが,相転移の後半ではより軟化した。回収試料では,母相Ol粒内にサブミクロン粒子からなるRwラメラが発達していた。これらから、低温大過剰圧下で硬い母相Olから細粒で軟らかい新相Rwが出現し,相転移後半では新相が連結して試料全体の軟化に至っている可能性が示唆される。