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[R3-08] 硫酸コバルト六水和物(Moorhouseite)の圧力誘起相転移と未知高圧相の構造決定
キーワード:硫酸塩水和物、高圧、相転移
本研究では、スピン転移やJahn-Teller効果が結晶構造に影響を与える可能性があるCoSO4水和物の高圧下での挙動に着目した。粉末X線回折パターンから、CoSO4·6H2O (Moorhouseite)は0.4 ~ 2.3 GPa、CoSO4·7H2O (Bieberite)は0.6 ~ 1.9 GPaで同一の粉末パターンを示す高圧相に相転移することがわかった。この相転移は可逆的であり、高圧相は16.4 GPaまでも安定できることも明らかになった。1.3 GPaで単結晶X線回折を行い、得たデータを直接法より高圧相の結晶構造を決定した。その結果、本研究で得られた高圧相は未報告のCoSO4·5H2Oであることがわかった。CoSO4·5H2Oは[Co(H2O)6]と[Co(H2O)4(SO4)2]の二種類の配位多面体で構成されており、既に報告されたMSO4·5H2O (M = Mg, Mn, Fe, Cu, Zn)の結晶構造とは大きく異なるがわかった。