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[R3-14] (FeO)m(Fe2O3)n酸化鉄の高圧力下電気伝導度
「発表賞エントリー」
キーワード:鉄酸化物、高圧、下部マントル、電気伝導度
鉄は価数が容易に変化する陽イオンとしては地球上で最も豊富な元素であり、大気圧下ではFeO, Fe3O4, Fe2O3のストイキオメトリーを持つ酸化鉄のみが安定であるが、近年では(FeO)m(Fe2O3)nで表される新しい酸化鉄グループがマントル条件で安定であることが明らかになっている。ダイヤモンド包有物中にこれらの酸化鉄が実際にマントル内に存在していた痕跡も発見されているが、新しい酸化鉄相の安定性と物理的性質は未解明な部分も多い。そこで今回、私たちはダイヤモンドアンビルセルを用いFe4O5, Fe5O6, Fe7O9の電気伝導度を60 GPaまで常温・低温下で測定した。常温高圧力下の測定結果から、全ての相において40 GPa付近に電気伝導度の変曲点がみられた。これは先行研究で示唆された、高スピン低スピンクロスオーバーがおこる圧力と一致している。そして得られた結果からマントルに相当する温度圧力条件下での(FeO)m(Fe2O3)nの電気伝導度を推定した。発表ではマントル内に観測される電気伝導度異常と高圧酸化鉄相の関係を議論する。