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[R4-05] 汚染土壌からの重金属溶出挙動:表面錯体モデリングによるアプローチ
キーワード:表面錯体モデリング、重金属、拡散層モデル、脱離
これまで様々な水質条件における重金属の吸着・脱離挙動はモデル鉱物を用いた室内実験からよく検討されているが、天然の鉱物を用いて行われた例は少ない。そこで本研究では、重金属の吸着・脱離挙動を解明するために亀谷鉱山で採取された土壌を用いて様々な環境条件下で脱離実験を行った。実験の結果、pHの上昇に伴いPb,Cu,Cd,Znの溶出濃度は低下した。pHがさらに上昇するとこれらの元素は再溶出した。PbとCuはpH7で最小の溶出濃度を示し、CdとZnはpH8以上で最小濃度を示した。この溶出濃度が減少する挙動は鉱物の表面電荷で説明できる一方、高pHでの再溶出の挙動は化学種により説明できる。このメカニズムは表面錯体モデリングを使用して熱力学的に説明できる。モデル鉱物を用いた重金属の吸着・脱離実験では、今までに高 pH で重金属が脱離する挙動は報告されていない。発表ではゲーサイトをモデル鉱物とした重金属脱離挙動と本実験結果の比較を行う予定である。